家計診断Q&A

家計診断Q&A

共働きで収入もそこそこなのに貯蓄ができません
将来に備えて家計の見直しをしたいのですが


 

市田 雅良先生
(いちだ まさよし)
プロフィール

  • 現状を分析し、将来を予想してみよう
  • 保険過多? 見直しは必要?
  • 将来に備えるために今からすべきポイントは?
     

安井 謙太さん(仮名 41歳 会社員)のご相談

住宅を取得、第二子出産というイベントを達成し、二人目の子供に手がかからなくなったので夫婦共に働きに出ていますが、どうも貯蓄ができません。夫婦の年齢差が8歳あるということもあり、60歳前後のライフイベントが目白押しです。将来の備えと現在の備えをどのように考えればいいのでしょうか。

安井さんのプロフィール

安井 謙太さん 41歳 昭和43年5月30日生 会社員
安井 佳乃さん 33歳 昭和51年8月25日生 パート勤務
安井 あきら 君 8歳 平成13年7月1日生 小学2年 長男
安井 健斗君 2歳 平成19年10月31日生   次男

(1)現在の年間の収入

●世帯主 謙太さんの収入
給与収入 743万円
社会保険料・税 ▲151万円
可処分所得 592万円
●配偶者 佳乃さんの収入
給与収入 120万円
社会保険料・税 0万円
可処分所得 120万円
夫婦可処分所得合計 712万円

(2) 現在の年間の支出

支出の部
基本生活費 390万円 ※要注意
その他費用 49万円 車ローン
住宅関連費 169万円  
教育費 27万円  
生・損保保険料 95万円 ※要注意
赤字額 ▲18万円 ※要注意
貯蓄額 0万円  
支出合計 730万円  

(3) 子供2人の教育資金予測

  西暦   入学金など 年間の教育費 合計
長男
あきら君
2009 小学校入学公立   27万円 27万円
2014 中学校入学公立/自宅   38万円 38万円
2017 高校入学公立/自宅   46万円 134万円
2020 大学他入学私立理系/下宿 152万円 271万円 236万円
2030 結婚 100万円   100万円
次男
健斗君
2011 幼稚園入園私立3年 10万円 36万円 46万円
2014 小学校入学公立   27万円 27万円
2020 中学校入学公立/自宅   38万円 38万円
2023 高校入学公立/自宅   46万円 46万円
2026 大学他入学私立理系/自宅 79万円 198万円 277万円
2037 結婚 100万円   100万円

現状のキャッシュフロー表

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平均の倍もある食費を抑えて、世間並みに、
貯蓄目的の保険はメリットを精査して見直しを

現在はそれなりに生活ができていても、謙太さん50歳時点より貯蓄残高の赤字が広がり、家計破綻となる可能性が出てきます。お子様の教育費支出も62歳ごろまで続くので、家計破綻は何としても早期の対策で回避したいところです。問題点とその解決策を見ていきましょう。

(1)現在の年間の収入から
ご夫婦二人の可処分所得は712万円と平均的な家計収入より高いランクといえます。したがって収入から見ると貯蓄可能な家計力はあるはずですが、できていないというのは支出が原因なのでしょうか。
解決策>⇒ 支出を見直そう

(2) 現在の年間の支出から
貯蓄を意識されているのになかなか貯まらないというのは、やはり支出に原因があると思われます。そこで、現在の年間支出の表に見られる※要注意3つを検討してみましょう。

その1 「赤字」

年間の収支を見てわかるとおり、支出が多いので赤字となっています。このままですと、キャッシュフロー予測では2018年以降に貯蓄残高がマイナスとなり、家計破綻になる可能性があります。

その2 「基本生活費」が390万円

内訳を出していただいているのでチェックしてみましょう。

■日常の生活費(生保料も含む) <約39万円>

その内訳は・・

※税金・社会保険料・住宅費・教育費を除き、毎月決まっ て消費する金額

食費 約150,000円 交通・通信費 46,651円
水道光熱費 33,662円 カルチャー教養娯楽費 38,840円
医療費 8,034円 こづかい 30,000円
被服費 11,096円 生・損保険料 64,257円
家事用消耗品 6,900円    

食費以外はそれほど多すぎるという水準ではなさそうですが、15万円の食費はチェックポイントといえそうです。「総務省統計局」が調査している「家計調査」では、4人世帯の食費の平均は 76,511円(平成20年度)となっています。全国平均と比較してみると、安井家の15万円は多い額といえます。夫婦共働きなので致し方ないと思われるかもしれませんが、「将来の貯蓄ができないと」いう非常事態ですので、とりあえずは目安として、全国平均に近い約8万円あたりを目指す必要がありそうです。

<解決策>⇒ 月々の貯蓄をするという目標の為に、夫婦で個々に支出している食費を見直しましょう。たとえば月に食費8万円でのやりくりができれば15万円−8万円=7万円の貯金が可能となります。月に8万円の食費は1週間で約2万円という配分になります。夫婦で共通の認識を持ち、安井家の努力目標としてみましょう。

その3 「生命保険料」支出の内訳について


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加入されている保険を目的別にグループに分けてみれば以下のようになります。解決策もあわせて検討してみましょう。

A 死亡保障のための生命保険
表から(1)・(2)・(3)・(10) →保障金額はすこし少ないようですが、もしもの場合の生活は、佳乃さんの収入と収入保障または遺族年金でなんとか頑張れそうな金額ということですので、このまま続けましょう。

B 教育費のための生命保険
かつては学資保険が有利とされてきましたが、最近の新しい教育資金の備え方として、低解約返戻金付の保険を検討される方が増えてきました。これは満期まで待たずに必要な時期に途中解約して教育資金に備えられ、期間設定の自由な流動性の高い教育資金として利用される方がいらっしゃいます。低解約返戻金付には終身保険と定期保険とがあります。謙太さんは、2人のお子様の大学進学時の準備にと(4)・(6)・(7)・(8)の低解約返戻金付終身保険に入っておられます。ちなみに終身よりも定期のほうが、解約返礼率は少し高くなるのですが・・・貯蓄型金融商品と比較してメリットが出ているのかどうかがポイントですね。メリットがあるようであれば続けましょう。

C 医療のための生命保険
(5)・(9)は夫婦それぞれの医療に備えるということですが、これは少し負担があるように思われます。
<解決策>⇒  (5)については掛け金負担が少し重いように思われます。僅かかも知れませんが、保障額を1日5,000円に下げてみてもいいのではないでしょうか。

今は貯金が無い状態です。そこで医療費用に備える貯金として、とりあえず50万円を目標にしておきたいものです。考え方として、病気入院した場合には貯蓄と保険で備えるのが効率的な方法だと思います。保障額を半分にすれば保険料も半分となり貯蓄に回すことができます(保険会社によって違いがあるので50%になるかどうかの確認が必要です)。そこで(5)の保障額を半分にして8,840円→4,420円に、同じように(9)も5,000円程度に減額して余った分を貯蓄に当ててはいかがでしょうか。また、ご夫婦とも60歳までの保障しか付けておられません。その後の保障をどうするかということも考えておく必要があります。

対象方法は2つ考えられます。1つは「今対応する」、もう1つは「50代の終わりころまでに医療目的の貯蓄をする」です。「今対応する」ためには、さらに保険の加入が必要となります。現状ではこれ以上の負担はしたくないということなので、50代の後半時期に再度検討し、一時払いができる貯蓄額を蓄えた上で、どの保険が自分たちにあっているかを検討し、加入すればよいのではないでしょうか。

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食費や保険料などを見直し、貯蓄ができる体質に変えてみた場合のキャッシュフロー表です。年間収支は、イベント支出の車購入などがある年度の単年度収支は赤字となりますが、貯蓄残高は黒字で推移しますので問題はなくなりました。
これはあくまでも予想ですので、今後は「貯蓄をめざした体質改善」に取り組んでいく必要があります。

「なんとなく貯蓄」はやめよう

解決策をすべて実行したと仮定すると、貯蓄は年間100万円程度可能となりそうです。ただし、無計画な「なんとなく貯蓄」は無計画に「なんとなく取り崩す」といったことになりがちです。そこで防止策として、貯蓄に目的を持たせてみましょう。

それにはまず、将来のイベントを予想します。1.教育資金(二人のお子様別々に)、2.万が一の入院費用(月給の3〜6ヶ月分を目安)、3.車の買い替え費用(ローンでの購入は金利負担が大きいため)、4.車検費用、5.家の修繕(水周りなど)、6.年金不足分(謙太さんの65歳からの年金予測約270万円/年。生活支出も同額程度と予想されるので、臨時的支出の資金が必要となります。←優先順位的には上位となります。)など
これらのイベントを家族全員で書き出し、資金を見積もってみます。次にそれらのイベントが何年後に必要なのかという期間を設定します。資金額÷期間で1年あたりの積立額が決まり、1か月あたりの積立必要額が決まります。安井家はボーナスがないということなので、この金額を給料月に均等に割り出し、まず貯蓄に振り分け、そのあと支出を項目ごとに見積もり配分するという方法で月間計画を続けていけば、持続可能なプランニングとなります。

ダブルインカムのご夫婦は、収入が多い分支出も多くなりがちです。言い換えれば、支出の効率が悪くなり無駄が出る可能性が高くなるということになります。そこで、夫婦が収入の使い道である支出項目をお互い認識しあう必要があるといえます。これを機会に家計の再構築(リストラクチャリング)をはかってください。

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