家計診断Q&A

家計診断Q&A

公務員の妻が大黒柱の家計ですが
夫が主の夫婦型の保険で大丈夫でしょうか?


 

山根 克規先生
(やまね かつのり)
プロフィール

  • 一般論でなく、ご自身にあった保障設計をしましょう
  • 共働きの多い現代では、女性の生命保険が高額になることも多い
  • 頼りになる保険のプロとお付き合いしましょう
     

竹内 真理さん (仮名 38歳 公務員)

我が家は妻である私の収入の方が高く、夫の収入は景気に左右され、ここ数年減少しています(私の年収450万、夫250万)。
子どもが3人いるので二人の収入で今はやりくりできていますが、もし私に万が一のことがあったら・・・と考えると不安です。そこで、私たちに必要な生命保険とはどのようなものなのか、アドバイスを頂けたらと思います。

現在加入の保険は、夫の勤務先に出入りしている外交の方から加入しており、夫本人の死亡時3,000万円、入院時1万円という内容です。それに妻型で私の死亡時300万円、入院時6,000円が付加されています。私が加入している保険は9年前に預金代わりで加入した養老保険300万円が10年満期で、もうすぐ終わります。たぶん内容としては不十分ではないかと考えております。
よきアドバイスをお願いいたします。

竹内さん(仮名 38歳)のプロフィール

世帯年収 : 700万円
家族構成 : 夫 36歳 会社員、長男 8歳、次男 6歳、長女 4歳
住まい : 賃貸

死亡保障、病気治療・入院保障も
家計を支える奥様を大きくするよう見直しましょう

最近、同様のご相談が増えております。
女性の社会進出が叫ばれて久しい中、ご相談いただいたように、家計における女性の役割が相当大きなものとなり、これまでのような保障設計では通用しなくなっております。
にもかかわらず、十分な検討もなく夫婦型等の生命保険に加入するなどにより、不十分な保障内容となっていらっしゃる方が多数見受けられます。保障設計は各ご家庭、各個人毎に状況を踏まえて行なう必要があります。
では今回のケースを考えてみましょう。

保険の大きな役割は、「万が一の際の経済的ダメージを回避、軽減する」事です。そして生命保険がカバーする「万が一」は主に2つ。「死亡時」、「治療・入院時」です。
それでは「死亡時」、「治療・入院時」それぞれの際に、どのくらいの保障が必要か考えましょう。


死亡時の必要保障額

対象となる方(ご主人、または真理さんやお子さん)が万一お亡くなりになった場合に、遺されたご家族が生活をしていく上で、どの程度経済的に困るかを計算します。

ここで大切なのは、その方が生きていたら、「このくらいの経済的な価値があった」といった意味ではなく、あくまでも遺されたご家族が生活に困るかどうか、困るならどの程度の金額困るのかを計算することです。その方の経済的価値ではない事をご理解下さい。

では具体的に考えます。
まず対象者(ご主人、または真理さんやお子さん)が亡くなった場合に、遺されたご家族が生活をしていくために必要な「遺族生活資金」を全て計算します。
その中には住居費、基本生活費、お子さんの教育費、車や家財などの耐久消費財、対象者死亡時の死後整理資金(葬儀関連、借入金返済など)、その他必要な資金が含まれます。

これらを計算する際に、あと何年生きるかという事を考えなくてはいけませんが、これは最低でも平均寿命以上生きる事を前提に計算する事をお勧めいたします。また、お子様が独立して家を離れた後は当然生活費はその分少なくて済むことになりますので、減額して考えなければなりません。

その他各項目での注意点は以下の通りです。
住居費 持ち家であれば、税金や修繕費など必要な経費も見積もる必要があります。
基本生活費 お子さんが独立するまで、独立したあとで生活費が変わるのが一般的です。
教育費 学校の授業料の他、塾や習い事、仕送りなども計算します。
耐久消費財 買い替えサイクル、1回での必要金額、車検、修理費用等も考慮しましょう。
死後整理資金 葬儀費用、お墓等の他、借入金や場合によっては相続税の納税資金も。
借入金は放棄も可能ですが、その際は全ての財産の相続を放棄することになります。
その他 夢の実現、ご旅行や趣味のための費用など。

これらを計算すれば一般的に1億5,000万円や2億円位は普通です。
えっ!? と驚かれるかもしれませんが、仮に年間300万円位のお金を使うとして、それが50年では、これくらいの金額になります。お子様の教育費は、大学まで通うとしたら国公立文系に行くのか私立理系に行くのかでも大きく違ってきます。しかも、3人です。生きていくのは結構な金額が必要です。

ただし、この金額が生命保険として必要なわけではありません。今計算したのは、あくまで「遺族生活資金」です。ここから「準備済み(可能)資金」を差し引く必要があります。

「準備済み(可能)資金」には、公的年金(遺族年金や老齢年金)、死亡退職金等、残された家族の収入(お仕事など)、預貯金等があります。

これらを差し引きして、「準備済み(可能)資金」の方が少ない場合は、その不足額を生命保険で用意しないといけません。逆に「準備済み(可能)資金」の方が多い場合は、死亡時の生命保険は無くても困らないことになります。ということは遺されたご家族がどの程度の生活レベルを送るのか、そして遺されたご家族がどの程度経済力があるかがポイントになります。

そこで今回のケースを当てはめて考えると、家計を主に支えているのは真理さんですから、ご主人よりも真理さんの生命保険が大きく必要になる可能性が高いといえます。

特に日本の社会保障制度は、旧態依然としていますので、女性が社会的弱者であるという考え方に基づいています。そのため、夫死亡時の方が手厚い遺族年金などが用意されていますので、すます真理さん死亡時の経済的ダメージが気になるところです。

これらの計算は公的年金など専門知識も必要になりますので、ファイナンシャルプランナーや保険のプロにご相談しながら、過不足の無い保障をご準備下さい。


治療・入院時の必要保障額

治療・入院時は実際に必要な「治療費・入院実費」の他に、「入院したことにより必要になる費用」を考えるべきです。

「実費」は入院時に個室を利用するのか、先進医療などを活用したいのか(全額自己負担)などのニーズによって変わってきます。
最近は先進医療費をカバーする保険も多数ございますので、必要に応じてご活用下さい。

「入院したことにより必要になる費用」は長期入院した場合に、お給料が出るのかどうかが一つのポイントです。自営業のように働けないと収入が無くなる方は、その不足分をカバーしないといけません。
その他、家事をしている女性が入院した場合、家事が苦手な男性であれば、外食など、食費などが随分と跳ね上がるケースもありますので、注意が必要です。

ご主人よりも奥様が入院した場合の保障が少ない妻型は、共働きの多い現代社会では、多くのご家庭で当てはまらないといえます


保障設計はプロに相談

見てきたように保障の設計は簡単ではありません。
ご夫婦とプロがじっくり話し合って設計する必要があります。一般的に、深い相談も無く、各自の職場で加入するケースの多い生命保険ですが、それでは万が一の際に全く役に立たないこともよくある話です。
生命保険はご夫婦、そしてご家族のライフプランに密接に関係しています。頻繁に見直す必要はありませんが、数年に1回くらいはプロを交えて話し合う事をお勧めいたします

ここで言うプロとは、生命保険に詳しいファイナンシャルプランナーや、保険代理店、保険外交の方で、じっくり相談に乗ってくれて、納得できる方、信頼できる方です。
保険は長いお付き合いになりますので、気が合うことも選ぶポイントになるでしょう。またプロでも意見は全く同じではありません。複数のプロに話を聞いてみるセカンドオピニオンも有効です

より充実した人生によきプロとのお付き合いはとても大切になってきますよ。

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