家計診断Q&A

家計診断Q&A

生命保険に加入して10年になるのですが、
大幅に保険料が上がるとの案内、納得できません


 

山根 克規先生
(やまね かつのり)
プロフィール

  • 保険を検討する際、万が一の際に必要な金額、必要な期間を考えます
  • 定期保険、養老保険、終身保険の各々の特徴を理解し、選択、活用します
  • 最終的にどの保険会社、代理店、担当者とお付き合いするか十分比較検討しましょう
     

森 陽一さん(仮名 40歳男性 会社員)のご相談

現在加入している生命保険について相談をお願い致します。
国内生命保険会社の定期特約付終身保険に入っています。死亡時の保険金は2,000万円、入院時は一日につき5,000円(ガンのときは10,000円)です。毎月の保険料が14,000円程。
ただ、このたび同じ保障内容にもかかわらず、保険料が25,000円ほどに増額するという案内がありました。よくよく聞いてみると、今後10年毎に値上がりするそうです。しかも65歳を過ぎたら、死亡時の保障は300万円になるそうです。さらに65歳で終了すると思っていた支払も、その後も続くようです。どうも納得できません。

そもそも生命保険の仕組みや、どの程度の保障が必要なのか、ぜひアドバイスをお願い致します。

森 陽一さんのプロフィール

世帯主の職業 : 会社員
世帯年収 : 720万円
貯蓄残高 : 600万円
家族構成 : 妻 38歳 主婦、子 8歳 小学生
住居 : 持ち家(ローン返済中)

生命保険は高額な商品です。
内容を理解して、必要な物を必要な額だけ加入しましょう

森さんのような悩みをお持ちの方が沢山いらっしゃいます。
保険外交の方から詳しい説明を受けずに、安易にご契約されていらっしゃる方が多いようです。生命保険は長い期間にわたって支払いますので、結果高額な支払の契約となります。大切なお金ですので、しっかり基本を押さえて生命保険にご加入下さい。


ポイント1


生命保険とは

まず保険の役目というのは、万が一の際に経済的に困らない為のものです。そして生命保険でカバーする「万が一」は、一般的に「死亡時」と「入院時」になります。ですので、まず大切なのが「死亡時」、「入院時」に、どの程度の保障が必要なのか。またどの程度の期間必要なのかを考えなければいけません。つまりご自身にあった保険の設計を行なう訳です。そして最終的に、どこの保険会社を選ぶかを検討します。

しかし現実的には、何となく加入したり、支払う金額(保険料)で決めたり、他の方と同じ内容の保険にしたりと、十分なご検討がなされていません。生命保険は、生命保険会社との契約ですので、しっかり内容を把握し、責任を持ってサインしていただきたいと思います。


必要な保障

では具体的に考えてみましょう。万が一の際にどの程度の保障が必要なのか、死亡時を想定して、遺されたご家族が今後生きていくために必要なお金を計算します。

毎年かかる金額に今後奥様が生活される年数をかけます。この年数は平均余命(よみょう)といわれるもので、特定の年齢の方が平均あと何年生きられるかを表したものです。ちなみに0歳の平均余命が、平均寿命といわれるものです。
38歳女性の平均余命は約49歳です。最低その年数以上で計算します。きりの良いところで50年としましょう。


住宅費

まずは住宅費ですが、もし森さんに万が一のことが起きた時、奥様はどこで生活されるでしょう?
今のマイホームに住むか、マイホームを誰かに貸して、実家に戻るか?賃貸に移るか?
色々な選択肢が考えられますが、一般的に考えるとマイホームにそのまま住むことになると思います。その場合、住宅ローンに付加された保険により、ローンは完済されます。よって住宅費で必要になるのは、固定資産税、火災保険料、リフォーム費となります。

森さんの場合、毎年かかる住宅費は固定資産税年15万円、火災保険料年3万円で合計18万円です。50年では、18万円×50年=900万円 となります。
またリフォームを15年に一度300万円かかるとして、3年前の新築ですから12年後に最初のリフォーム、その後2回、計3回のリフォームとすれば、こちらも3回で900万円。
住宅費の合計は1,800万円必要となります。


基本生活費

これは生活する上で必要不可欠な支出で、前述の住宅費、後述の教育費を除いた支出となります。計算をする際は、お子さんが独立するまで、そして独立した後を分けて考えます。遺されたご家族の支出を、細かく計算するのも良いですし、一般的には、お子さんが独立するまでは現在の支出の7割、独立して奥様お一人の場合は、現在の支出の5割で簡易的に計算しても良いでしょう。

ここでは現在の支出から簡易的に計算してみましょう。
お子さんが独立するのが大学卒業の23歳とすれば、独立するまでの年数は23歳−8歳=15年。
この間は現在の月間支出24万円の7割、約17万円とすると1年間では、17万円×12ヶ月=204万円。
お子さん独立後の年数は、奥様の余命50年の計算ですので、50年-15年=35年。
この間は24万円の5割12万円で年間144万円とします。
まとめると204万円×15年+144万円×35年=8,100万円となります。


教育費

中学校まで公立、高校は私立、大学は私立文系をお考えですので、その場合の平均費用は文部科学省調べのデータによると今後、693万円必要です。
さらに大学は一人暮らしでシミュレーションということですので、仕送りが必要です。
こちらは平均で男子の場合月8万円程度ですので、年間96万円、4年間で384万円。
他に大学受験費用で20万円とすると、合計で1,097万円となります。


耐久消費財

耐久消費財は家電や車など一定期間毎に必要になる高額な支出です。
まず家電一式が70万円、買い替えサイクルが15年ということですので、前回新築時にご購入ですから、今後3回の買い替えが必要でしょう。
家電の買い換えで 70万円×3回=210万円

車は1回150万円で10年サイクル、次回購入予定5年後、70歳まで運転ということですので、今後3回購入となります。
よって150万円×3回=450万円
車検、修理費用で2年毎に15万円とすれば15万円×15回(最後が68歳)とすれば、15万円×15回=225万円
合計で、車にかかる費用は450万円+225万円=675万円と見込まれます。
ちなみにガソリン代などは基本生活費で計算しています。


葬儀費用

これは森さんと、奥様2人分を考えます。
2人で500万円と計算しましょう。


趣味費など

あとは遺された奥様の生きがいとなる趣味などの費用ですが、3年に一度の旅行30万円を75歳位までご希望されていますので、今後12回で360万円必要です。
以上の支出を合計すると1億2,742万円となります。

この金額を見るととてつもない金額のようにみえますが、残された奥様が今後50年生活するのに必要ということですから、計算すると年間平均254万円、月平均21万円となり、決して贅沢をしている訳ではないことがご理解いただけると思います。また遺されたご家族の望む生活レベルで、必要な金額が大きく変わりますので、再度ご夫婦でしっかりと話し合って下さい。


収入見込みと準備金

さて生きていく為に必要な金額がわかりましたので、次は既に準備出来ている財産や、今後得られる収入を計算します。

まず大きいのが、遺族年金を中心とした公的年金です。
森さんのこれまでの加入状況、収入から考えると、お子さんが高校卒業までの10年間は年間約150万円。その後奥様が65歳までは年間約110万円。65歳以降は一生涯年間130万円の受給が見込まれます。計算すると、150万円×10年+110万円×17年+130万円×23年=6,360万円を見込めます。

次にお勤めの会社から支払われる死亡退職金や弔慰金が、規定によると1,000万円程度見込まれています。
そして奥様が働くことで得られる収入を、パート収入月7万円、年間84万円と予定します。それを50歳までの12年間とすれば約1,000万円となります。
現在の金融資産600万円も考慮に入れます。他に親からの相続など、見込まれる試算があればそちらも考慮に入れます。

以上準備可能な金額を合計すると、8,960万円です。

今後の生活に必要な金額から、準備可能資金を引いた金額が、必要な保障となりますので、1億2,742万円-8,960万円=3,782万円が必要保障額となります。
現在ご加入の保険は死亡時に2,000万円ですので、1,800万円ほど不足していることになります。なおこの不足金額は一般的に、徐々に少なくなっていきます。それは、森さんが40歳のときと、50歳のときでは、万が一の際に必要な金額を計算する根拠となる年数が、10年減ることになるからです。またその期間で金融資産が増えることも、必要保障が減る大きなポイントです。
それも踏まえて計算すると、50歳時は2,080万円、60歳時にはマイナス750万円となります。

マイナスということは、死亡時の保険が必要ないことになります。ですので、今後15年から20年程度で死亡保険からの卒業といえます。


医療保険

次に入院時の保険、つまり医療保険ですが、自己負担3割をカバーするためには、1日最低でも7,000円以上、できれば1万円程度は必要です。さらに入院時に個室を希望される方は、その金額も加算します。


ポイント2


保険の種類

必要な保障(保険金額)がわかったら、次にどのような保険に加入するかを検討します。

生命保険は一般的に難しいと思われがちですが、実はとてもシンプルです。
保険の種類は3種類。
(1)定期保険
(2)養老保険
(3)終身保険

(1)定期保険は一定期間の保障であり、その期間が終了すると、それまでの保険料は掛捨てとなります。掛捨てゆえ安価で高額の保障が得られます。

(2)養老保険も、一定期間の保障ですが、期間が終了したときに、満期保険金が受け取れます。貯蓄を兼ねた保険といえますが、その分保険料は高額となります。

(3)終身保険は、一生涯の保障です。保険料の払い込み期間は自由に設定できますが、払い込みが終了した後も、保障は一生涯続きます。お金も貯まりますので、解約した場合には解約返戻金が受け取れます。

今回ご相談の、定期特約付終身保険とは、(3)の終身保険をベースに、(1)の定期保険を特約(オプション)とした、多くの方がご加入の保険です。

森さんのケースで見ると、
(3)の終身保険は300万円の一生涯の保障で、払い込みは65歳までとなります。その保険をベースに、(1)の定期保険、1,700万円の保障が10年間続く保険が付加されています。

(1)の定期保険は10年毎に更新、つまり再契約となります。その際、更新時の年齢に応じて保険料が上がっていきます。そのため、このたび保険料が倍増する予定となっているわけです。そして最終的には65歳で完全に終了します。

さらに入院時の保障も、同じく定期保険で10年毎の更新タイプです。こちらは最終的に80歳まで保障があるご契約ですので、65歳で終了すると思われていた保険料の払い込みも、実際には80歳まで続くことになります。

このように内容の違うものが一まとめになっている為、複雑な印象を受けてしまいますが、実際にはシンプルなものです。


保険選び

どれくらいの保障、どの程度の期間、そして保険の形が決まれば、そして最終的には、どの会社のどの保険商品に加入するかを検討いたします。実際に比較検討してみると、同じ保障内容でも、保険料にバラつきがあることがわかります。また特に医療保険の場合、各社で保障内容に差があります。

森さんの場合で考えると、死亡時の保険は定期保険をお勧めいたします。保険金額3,800万円、保険期間20年の定期保険が良いでしょう。そして定期的に今回のような保障設計をすることで、過剰な部分を減額するとそのつど保険料が安くなります。
このタイプでお勧めはSBIアクサ生命です。インターネット専業の為、保険料も安くなっています。
オリックス生命も安くてお勧めです

または最初から必要保障額の下額を織り込んだ定期保険に加入することもお勧めです。収入保障保険といわれるもので、定期保険の一種です。これは被保険者死亡後、毎月決まった保険金額が支給されるタイプですが、一括で受け取ることもできますので、一括して受け取る金額を3,800万円、その後の減額状況に合わせた設計が必要です。
アフラックの「GIFT」、東京海上日動あんしん生命「家計保障定期保険」です。
アフラックは元気割引を付加すると保険料が安くなり、非喫煙者はさらに保険料が安くなる点、細かい設計が可能です。
あんしん生命も割安な保険料でお勧めとなります。

入院時の保障は「医療保険」となりますが、こちらも定期タイプ、終身タイプがあります。今のお勧めは終身タイプです。死亡時の終身保険と違って解約返戻金がないことで保険料を割安にしているものが多いです。死亡保険は年齢とともに必要性が減るのに対して、医療保険は年齢とともに必要性が増すのが一般的です。それを考えると保障切れも無く、保険料が途中で値上がりしない終身タイプがお勧めです。具体的にはアフラックやオリックスが保障内容、保険料ともにお勧めです。
以上のステップを参考にして頂き、しっかりとご検討ください。


ポイント3

ご自身だけでご検討するのも良いですが、お勧めは、多くの保険会社を取り扱っている保険代理店に相談することです。代理店さんに、これまで学んだステップをお手伝いしていただき、最良の保険を設計、ご契約していただきたいと思います。また保険代理店さんも複数相談し、より納得、安心できる相手をお選び下さい。

繰り返しになりますが、生命保険は高額なお買い物です。後悔しないように、じっくりと時間をかけてご検討ください。そして安心してお任せできる担当者を探すことが、大きなポイントになるでしょう。


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