家計診断Q&A

家計診断Q&A

子ども手当はどのように使えばよいでしょう。
教育資金の準備にどのくらい貯蓄していけばいいでしょうか?


 

村井 英一先生
(むらい えいいち)
プロフィール

  • 子ども手当はこのまま続くとは限りません。プラスアルファと考えましょう。
  • 教育費の負担が重くなるのは、高校・大学の時期。子ども手当がなくなった後です。
  • 大学進学の費用を準備できれば、老後の資金計画が楽になります。
     

柴田 愛さん(仮名 33歳 主婦)のご相談

子ども手当の支給が始まり、我が家でも先日、2ヶ月分が振り込まれました。子どもがいることで支給されたお金なので、せっかくなら子どものためになることに使ってあげたいと思います。しかし、貯蓄に回す方がよいという話も聞きます。子ども手当はどのように使うのがよいのでしょうか。また、二人いる子どもは大学までは行かせてやりたいと思っていますが、そのためには月々どのくらい貯蓄をしていけばよいでしょうか。

柴田 愛さん(仮名 33歳 主婦)のプロフィール

世帯年収(手取り額) : 410万円
家族構成 : ご本人 33歳 主婦、夫 34歳 会社員、長女 5歳 幼稚園、長男 3歳 
住居 : 借家

現在の貯蓄

普通預金 200万円

家計の状況

収入

  月々  ボーナス(年間)  
給与手取り 275,000 800,000  
子ども手当 26,000    
年間(手取り) 301,000×12か月 800,000 4,412,000

支出

  月々 毎月の支出とは別の支出(年間) 年間支出
住居費 85,000   1,020,000
食費 40,000   480,000
光熱費 12,500   150,000
通信費 20,000   240,000
被服費 20,000   240,000
医療費 3,000   36,000
小遣い 20,000 100,000 340,000
レジャー費・交際費 15,000 200,000 380,000
自動車関連費 15,000 100,000 280,000
教育費 42,000   504,000
生命保険料 16,000   192,000
雑費・使途不明金 5,000   60,000
合計 293,500 400,000 3,922,000

加入生命保険

Q生命保険「定期付終身保険(医療特約付)」(被保険者:夫)月額16,000円

子ども手当は、全額を貯蓄に回しましょう。
さらに、貯蓄を増やすことはできないか、家計を点検してみましょう

1.実は、子ども手当の恩恵はそれほどありません。

子ども手当の支給が始まりました。第1回目の支給である6月には、4、5月の2ヶ月分が振り込まれています。今まで児童手当の支給を受けていた方は手続きの必要はありませんが、受けていなかった方は、申請の手続きが必要です。まだしていなかった方も、9月30日までに申請の手続きをすれば、4月分からが支給されます。それ以降になると、申請日の翌月の分からとなってしまいますので、注意が必要です。

今まで児童手当を受給していたご家庭では、3歳未満の子どもについては1人当たり10,000円、3〜12歳の子どもは5,000円(第三子以降は10,000円)をもらっていました。子ども手当になり、15歳の3月末までは一律で月額13,000円となり、所得制限もなくなりました。マスコミなどでは、13,000円という金額がクローズアップされており、子ども1人につき、年間で156,000円も所得が増えるように言われています。そして、それを目当てに学習塾やおけいこ事、子ども用品の商戦も過熱しているようです。

しかし、柴田様も感じられているかと思いますが、今まで児童手当を受給していた、多くのご家庭にとっては、子ども1人当たり3,000円または8,000円が増えるだけです。もちろん月に8,000円が増えると年間で96,000円が増えるわけで、家計にとっては助かります。しかし、13,000円というイメージにとらわれて、その金額を自由に子どもに使ってしまうと、後々困ったことになります。

昨年の衆議院選挙での公約では、初年度(平成22年度)は13,000円で、翌年(平成23年)以降は子ども1人当たり26,000円になるはずでした。しかし、昨今報道されているように、政府の財政状況が厳しく、増額はあまり期待ができそうもありません。しかも、この13,000円もまだ確定したものではありません。今の法律は今年度について決めてあるだけで、来年度についてはこれから法律を決めるのです。政治の世界の動向次第で、いつまで続くかわからないのが、子ども手当の状況なのです。子育て世代の家計は厳しいものがありますので、なんとか配慮して欲しいものですが、どうなるかはっきりしない‥というのは、不安ですね。そうは言っても、こればかりは私たちにはどうすることもできませんので、“子ども手当はないものと考えて”家計をやりくりしていきましょう。

もう1つ、心配の種があります。平成23年度に実施される予定の「扶養控除」と「特別扶養控除」の削減です。子ども手当を支給する代わりに、15歳までの扶養控除を廃止することが決まっています。さらに高校授業料の実質無料化(公立高校は無料に、私立高校は12万円安くなります)の代わりに、16〜18歳の特別扶養控除が削減されます。 「扶養控除」というのは、所得の金額を少なく計算できる制度で、その分が"減税"となります。今までは、15歳までの子どもがいると、1人当たり所得税で38万円、住民税で33万円の扶養控除がありました。例えば、年収500万円の会社員であれば、所得税は20%、住民税は10%となりますので、所得税76,000円、住民税33,000円で、合計109,000円の減税となっていました。平成23年からはそれがなくなりますので、増税となります。
16〜22歳の子供がいると、高校生・大学生で学費の負担が重い、ということで控除の金額が大きくなっていました。所得税で63万円、住民税で45万円の特別扶養控除です。ところが、高校授業料の実質無料化がなされたため、16〜18歳については、所得税38万円、住民税33万円と控除の金額が小さくなりました。年収500万の会社員だと、所得税が50,000円、住民税が12,000万円で、合計62,000円の増税となります。

子ども手当は月額13,000円ですので、年額では156,000円となります。109,000円の増税があっても、差し引き47,000円のメリットがあります。高校生の場合は、高校授業料の実質無料化で年間約12万円の恩恵がありますので、62,000円の増税でも、差し引き58,000円のメリットとなります。ただ、ここで児童手当も含めて考えてみましょう(年収500万円の会社員のケースです)。月額5,000円の児童手当をもらっていた家庭にとっては、子ども手当で増えるのは月額8,000円で年額96,000円です。来年から109,000の増税となれば、差し引き13,000円の負担増!となります。「子ども手当をもらった」「児童手当より金額が増えた」と喜んでいると、来年からびっくりすることになります。

子ども手当という制度を導入したために、かえって子育て家庭の負担が増えた。。。というわけにはいきませんので、政府としても何らかの対策をとるものと思われます。ただ、いずれにしろ、それほど大きな恩恵はないと考えておいた方がよいでしょう。


2.子ども手当は、将来に子どものために使いましょう。

とはいっても、子ども手当は子どものために使いたいのが親心というものです。では、どのような使い方がよいでしょうか。
まず、子どもにどのくらい教育費がかかるかを考えてみましょう(詳細については、7月の宮塚先生の回答にありますので、こちらをご覧ください)。大雑把に見ると、年間の教育費は

幼稚園:50万円、小学校:30万円、中学:50万円、高校:60万円、大学:90万円

と考えておけばよいでしょう。これに、大学の入学金が30万円加わります。

いかがでしょう。高校授業料の実質無料化後でも、高校、そして大学での学費が大きいことがわかります。特に、大学入学時は、大きな金額がかかります。子どもが自宅外通学となると、さらに負担が重くなります。
さらに、子どもが高校・大学に通う頃は、住宅ローンの返済があったり、親の介護に費用がかかったりします。そして、そろそろ自分たちの老後資金の準備を始めなければなりません。今でも、家計のやり繰りは大変だと思いますが、それでも将来のことを考えると、まだ余裕のある時期なのです。お子さんが小さいうちに、将来の準備=貯蓄ができるかどうかで、家計の負担が重い時期をスムーズに乗り越えられるかどうかが決まってきます。うまく乗り越えられないようだと、奨学金やアルバイトなどで子どもにも負担を負ってもらわなければなりません。場合によっては、希望する進学を断念してもらうこともあり得ます。
できれば、子どもには経済的な負担をかけずに、好きな勉強に励んでもらいたいものです。そのためには、早めの教育費準備、つまり貯蓄が大切になります。今、子どもに好きなものを与えたり、おけいこ事に費用をつぎ込んでも、将来に子どもの希望をかなえてあげることができなければ、元も子もありません。子ども手当を貯蓄することは、子どものためにお金を使うことなのです。

では、月々どのくらい貯蓄しておけばよいのでしょうか。子どもが小さいうちは、子ども1人につき、月額2万円をメドに貯蓄ができればよいでしょう。大学の学費は4年間で約400万円かかります。この金額全てではなくても、それに近いぐらいの金額が18歳までに確保できれば、安心です。ご自身の老後資金の準備に早く取りかかることができ、老後の生活が安定します。それが難しければ、最低でも子ども手当の13,000円は全て貯蓄するようにしましょう。子ども手当がないものだと思えばよいのです。今までの児童手当がすっかり家計の一部になっている人は、やり繰りが大変ですが、今の時期に家計を抑えておかないと、後々困ったことになります。
子ども手当の貯蓄は、元金の変動がない安全な貯蓄商品を選びましょう。投資信託の定期購入や金の純金積立では、大きく増える可能性もありますが、減ってしまう危険性もあります。使う時期が限定されない資金でしたら、値上がりした時に売却して引き出せばよいのですが、学費はそうはいきません。高校入学や大学入学など、使う時期が決まっています。ちょうど必要となる時期に暴落が起きる可能性も少なくはありません。子供の教育資金は、積み立てることで増やすもので、運用で増やすものではありません。
具体的には、貯蓄商品なら積立定期預金、保険商品ならば子ども保険(学資保険)がよいでしょう。最近は、入学金の支払い時期が早くなっていますので、満期にも気をつけて選びましょう。


3.日常的な支出や保険料の見直しが必要です。

柴田様の家計の状況を拝見すると、堅実に生活されているのがわかります。毎月の支出は、毎月の収入(給与+手当)の前後で収まるように、やり繰りされていますね。そして、大きな支出や貯蓄はボーナスを当てています。しかし、それでも「毎月の収支がトントンであれば大丈夫」と油断をしている部分はありませんでしょうか。今はまだお子様が小さいので、教育費があまりかかりません。しかし、お子様二人が高校・大学に通う頃になると、年間の支出はかなり大きくなります。それまでに学費の準備ができていないと、家計は苦しくなります。さらに、学費のかかる時期の負担が重いと、後々つまり自分たちの老後まで影響が及んでしまいます。

 
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毎月の支出をもう一度見直して、削れる部分はないか振り返ってみましょう。そして、子ども手当は将来の子どものために貯蓄しておきましょう。今、子どものために使わなくても、それが子どものためになるのです。

例えば、雑費・使途不明金がありますが、家計簿のチェックをしっかり行えば、この部分はなくなります。そして、レジャー・交際費、自動車関連費などは見直しによって、小さくない金額を削ることができます。ここでは、光熱費、通信費、被服費、小遣い、レジャー・交際費、自動車関連費の毎月の支出を1割削減してみました。1割ならばなんとか削減の余地があるでしょう。
さらに、生命保険の見直しを行いました。現在加入している生命保険は、定期付終身保険です。ご主人が33歳の時に加入されていますね。この保険は、定期部分の保険料が更新の時に値上がりするようになっています。ご主人が48歳の時に、それまで月額16,000円だった保険料が30,000円になります。お子様の教育費が増える時期にこのアップは厳しいものがあります。保険代理店や通信販売の生命保険を組み合わせて利用すると、同じような保険で保険料を月額12,500円に抑えることができました。現在の保険料と比べても安くなりますが、将来値上がりがない点で安心できます。

家計支出の現状と改善

  月々 毎月の支出とは別の支出
(年間)
改善した月々の支出 改善した別の支出(年間) 年間支出 差額
住居費 85,000   85,000   1,020,000  
食費 40,000   40,000   480,000  
光熱費 12,500   11,250   135,000 15000
通信費 20,000   18,000   216,000 24000
被服費 20,000   18,000   216,000 24000
医療費 3,000   3,000   36,000  
小遣い 20,000 100,000 18,000 100,000 316,000 24000
レジャー費・交際費 15,000 200,000 13,500 200,000 362,000 18000
自動車関連費 15,000 100,000 13,500 100,000 262,000 18000
教育費 42,000   42,000   504,000  
生命保険料 16,000   12,500   150,000 42000
雑費・使途不明金 5,000   0   0 60000
合計 293,500 400,000 274,750 400,000 3,697,000 225,000

その結果、毎月の支出は293,500円から274,750円へと、18,750円下げることができました。これによって、毎月26,250円(お子様二人の子ども手当含み)を貯蓄することができることになります。すると、将来、お子様の学費が大きくかかる時期でも無理なく乗り切ることができるようになります。さらに、老後の資金を十分に貯めることもできるようになります。月々の違いはほんのわずかなのですが、それが、将来大きな差となって表れてきます。

 
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このように、まずは生活の中で無駄な支出はないかよく見直してみてください。その上で、住宅の購入などを検討されるようでしたら、ご自身がパートなどで働くことも検討されてください。

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