家計診断Q&A

家計診断Q&A

 

ローンを組んで家を新築します。
小遣いを減らすと言われてしまったのですが……


 

宮塚 達夫先生
(みやつか たつお)
プロフィール

  • 長期的な資金プランを立てましょう。
  • ご夫婦の目標(ゴール)を共有しましょう。
  • 家計内仕分けを行いましょう。
     

船橋 博さん(仮名 35歳 会社員)のご相談

これまでは賃貸マンション暮らしでしたが、今年一戸建てを新築予定です。 これを機会に妻にお小遣いを減らすと言われています。
減らさないで済むような家計の見直し点・改善点があれば教えてください。

船橋 博さん(仮名 35歳 会社員)のプロフィール

家族構成 : 船橋 博さん(仮名 35歳 会社員 手取り年収500万円)
  善子さん(妻 30歳 パート 手取り年収70万円)
  桃子さん(長女 8歳 小学校2年生)
  みゆきさん(二女 4歳 保育園年少)
船橋さんの収入計画 : 65歳定年予定(予定退職金 1,200万円)
  毎年2%程度昇給予定。
貯蓄 : 70万円(住宅購入資金は支払い済み)
住宅ローン : NTTファイナンス
  フラット35S(20年金利引き下げタイプ)
住宅ローン毎月返済額 : 1〜10年目  8万7千円
  11〜20年目  9万5千円
  21〜35年目  9万7千円

年間収支

収入 支出
ご主人様収入 5,000,000 食費 480,000
奥様パート収入 700,000 新聞代 36,000
子供手当 312,000 携帯電話代(二人分) 120,000
    インターネット(含固定電話) 96,000
町内会費 7,000
ご主人様小遣い 300,000
奥様お小遣い 120,000
その他雑費 360,000
生活費合計 1,519,000
   
ご主人医療保険 70,000
奥様医療保険 35,000
お子様医療保険 25,000
ご主人様生命保険 50,000
ご主人様がん保険 16,000
生命保険合計 196,000
   
学資保険 330,000
保育費 312,000
小学校給食費 44,400
お子様学校外活動費 312,000
お子様関連費 998,400
   
自動車維持費 34,000
車検費用 110,000
自動車保険 120,000
通勤ガソリン代 120,000
奥様ガソリン代 120,000
自動車関連費用 504,000
   
住宅ローン 1,044,000
   
水道光熱費 250,000
火災保険等 11,000
固定資産税等 120,000
住宅関連費用 381,000
   
収入合計 6,012,000 支出合計 4,642,400

キャッシュフロー表を作成して長期の見通しを立て、
家計の見直しで減額阻止を勝ち取りましょう。

1.現状

船橋さんは、誰もが人生の大きな目標とするマイホームを購入され、新居での生活を心待ちにされていることと思います。
また、この低金利時代を考え、長期的な資金計画が立てやすいフラット35、中でも省エネルギー性に優れた住宅を取得した場合に一定期間優遇金利が適用されるSタイプ、しかも保証料・繰上返済手数料が無料のローンを選んでおり、住宅取得に関してかなり勉強されたのではないでしょうか。
あとは、これからのご家族の健康と家計がうまく回れば、さぞかし幸せな毎日が待っていることと思います。

さて、今回のご相談では奥様からお小遣いの減額を通告されているということでしたね。
確かに、現在船橋さんの貯蓄は70万円と住宅取得後とはいえ、かなり少額であるといえます。予期せぬアクシデントが発生した場合は資金ショートする可能性もあり、かなりハイペースで貯蓄する必要がありそうです。奥様の発言もその辺のことを考えてのことかもしれませんね。
ただ、小さい頃から皆同じだと思うのですが、お小遣いを減らされてしまうのは、とっても辛いことですよね。
月々何10万円もお小遣いがある人にとっては何でもないことかも知れませんが、一生懸命やり繰りして使っている身には、何とか現状を維持したい、本当はもう少し上げて欲しいと思うのが普通です。
本当に減額しか方法がないのかどうか、これから考えていきましょう。


2.長期的な資金プランを立てましょう。

船橋さんの家計が今後どのような状態で推移していくのか考えるのに、最も有効な手段がキャッシュフロー表を作成することです。
表計算ソフトを使えば、誰でも簡単に作成することができますし、ネット上で無料公開されているものも多数あります。
単純に考えても、船橋さんの場合、お子様の教育資金・マイカーの買い替え・住宅修繕費・老後資金など必要となるお金はいっぱいありそうです。
先ず年間収支からは現状毎年140万円位の貯蓄が可能であるように思われますが、現実はどうか考えてみましょう。

キャシュフロー表を作成する上で重要なことは、収入は少なめに、支出は大目に見積もるという点です。
余裕資金が発生する分には何ら問題はありませんが、資金ショートだけは起こらないようにしたいからです。
今回、船橋さんの年間収支をもとに参考キャッシュフロー表を作成してみましたが、以下の仮定条件に基づいて作成しました。

  • ア,ご主人様の昇給は55歳までとし、以降同額としました。 実際には55歳以後下がるケースがほとんどです。
  • イ,こども手当は将来どうなるか判らないので、計上しませんでした。
  • ウ,教育費は2%、その他は1%の物価上昇で計算しました。
  • エ,教育費について、公立高校無償化などの政策が今後どうなるかも判らず、進路も未定であるため、あえて
    別途教育費を支出計上せず、その代わりに、学資保険の満期金500万円も収入計上しませんでした。
    因みに純粋な学費だけでも、小学校から大学まで少なく見積もっても子供ひとり1千万円はかかる
    と言われており、船橋さんのご家庭はお子様が二人いらっしゃるので、お子様の進路を考えて修正していた
    だく必要があります。
  • オ,公租公課・年金収入については、あくまでも仮定の金額を入れてあります。
  • カ,マイカーは2台所有されているので、買い替え費用として、10年ごとに200万円を支出計上しました。
  • キ,住宅の修繕費として10年ごとに100万円、30年目で500万円を支出計上しました。
  • ク,預金については金利0%で計算しました。
  • ケ,お子様はいつか独立するでしょうが、あえて生活費は変えていません。
  •  

以上の仮定に基づいた表がこちらです。

<キャッシュフロー表を別ウィンドウで表示>

この参考キャッシュフロー表を見てすぐに気付くことが2点あります。

  • ア,2〜3年目の貯蓄残高は十分とはいえないが、その後はある程度順調に推移している。
  • イ,ご主人様が退職した後、毎年収支が赤字となってしまい、リタイヤ時の貯蓄額によっては、
    いずれ貯蓄が底をついてしまう可能性がある。

アに関しては、前述したように教育費の支出を修正した場合にどういう数値になるかで大きく変わってきますし、イについては、対策が必要ということになります。
この段階ではご自身なりに考えた金額、思い浮かぶ夢など、すべての支出を入力してみてください。

いかがでしょうか。
結構厳しい現実が浮かび上がってくるケースが多いのが現状です。


3.ご夫婦(家族全員)で共通の目標(ゴール)を持ちましょう。


キャッシュフロー表の分析ができたら、次は対策です。
ここで一番最初にしなければならない大切なことは、今後の生活スタイルや家族旅行、進学・結婚のことなど様々なお金に関係することについて、ご夫婦あるいは家族全員でじっくりと話し合うことです。
そして優先順位をつけてみてください。
優先順位が低いもので、諦められる事はひとまず外しておいて、本当に必要なお金はどれだけなのか、いつまでにいくら必要なのかを把握してください。

確実に貯金をするためには、収入を増やす、あるいは支出を減らすしか方法はありません。
収入を増やすためにはご主人様がWワークをしたり、奥様が労働時間を増やす方法がありますが、奥様だってお子様が小さいうちは容易なことではありません(もっとも、お子様の手がかからなくなってからは非常に有効な手段なのでお勧めします)。
また、支出を減らすためには相当な我慢(節約)が必要となりますが、目標もなく我慢するというのはなかなかできることではありません。
しかし、じっくり話し合って決めた目標(ゴール)、言い換えればニンジンがぶら下がっていれば、我慢が快感にだって変わってくるのです。

次に大雑把で構いませんので、

  • ア,5年以内に必要な資金
  • イ,10年以内に必要な資金
  • ウ,イ以降に必要な資金

の三つに分類してみてください。
アに関しては、普通預金などいつでも引き出せる口座に入れておき、イは定期預金・国債など、ウは途中解約すると元本割れするが、満期利率の高い定額年金保険(平成23年末までに契約すれば個人年金保険料控除が最高5万円です)や貯蓄性保険などに振り分けるのがいいでしょう。
中には、運用で高利回りを狙うという方もいらっしゃいますが、あくまでもご自身のリスク許容度に合わせた上で、下振れした場合のキャッシュフロー表でも生活設計が壊れないようにすることが大切です。


4.家計内仕分けをしましょう。


ここまでくれば、ご主人様のお小遣いがどうなってしまうのか、結論は目前です。
これまでに算出した必要貯蓄額を年間収支に当てはめてみてください。
年間赤字にならなければ、めでたくお小遣いは現状維持でOKということですよね。
しかし残念ながら、必要な貯蓄額が確保できない場合は、お小遣いカット。

と即決するのは、まだ早いのです。
家計内仕分けをしてみましょう。
つまり、他に削れる支出はないかどうか、支出ごとに考えてみるのです。
以下、ご主人様のお小遣い確保に役立つ可能性のある支出を私なりに挙げてみることにします。

携帯電話代

最適な料金プランであるかどうかチェックしてみてください。
思わぬ削減効果が生まれる場合があります。

インターネット

NTTが今年の4月をめどに光ファイバー通信回線サービス「フレッツ光」を最大で4割近く値下げする方針を固めました。
何もしないでも支出削減となりそうです。

自動車関連費

どうしてもマイカーは2台必要でしょうか?
ご主人様の公共機関による通勤は無理でしょうか?
小さなお子様がいらっしゃいますが、奥様の車はどうしても必要でしょうか?
最近は3人乗り用自転車に補助金が出る市町村もあります。
お住まいの地域にもよりますが、カーシェアリングは利用できないでしょうか?
ここで支出削減できれば削減効果バツグンです。

自動車保険

どうしても2台必要という場合は、リスク細分型保険かどうかチェックしてください。
ガソリン代から考えても船橋家はヘビーユーザーではないので、直販型なら更に安くなる筈です。

生命保険

ファイナンシャルプランナーとして気にかかるところです。
逆に支出が大きくなる可能性がありますが、お子様も小さいので保障内容を今一度確認してみてください。
この機会に会社の福利厚生制度も確認してみましょう。

ここまでで、お小遣いはどうでしょうか。
やっぱり減額決定ですか?

でもまだ諦めてはいけません。
お子様の学費に関しては、奨学金制度の活用という手もあります。
私立の有名受験校に入学している、一見お金持ちの生徒さんでも結構活用しているものです。
住宅ローンについても、手数料無料で繰上返済をすることによって、キャッシュフローはかなり改善される筈です。 住宅金融支援機構の「返済方法変更シミュレーション」などで簡単に試算することが可能です。
また、自宅の土地を担保に老後資金を借り入れ、死後に担保を元に清算するリバースモーゲージという奥の手もあります。


5.まとめ


ここまで、何とかご主人様のお小遣いが減らないように、あれこれ述べてきましたが、どうにもならない場合だってあります。
その場合でも、ご夫婦(家族全員)共通の目標(ゴール)さえしっかり持っていれば、前向きな気持ちで生活できるものです。
またキャッシュフロー表上では、貯蓄残高がマイナスになってしまうケースも考えられますが、現実は無くなりそうになったらお金は使わないですし、経済状況が好転して、預金金利が高くなって、資産がどんどん増えていくことだってあるのです。
勿論、船橋さんの住宅ローンは固定金利なのでいくら金利が上昇しても安心なのですから。

最後に、キャッシュフロー表は一度作って満足するのではなく、経済情勢や家庭の変化に応じて、常にリプランニングしていくことが重要だということを付け加えておきます。


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