家計診断Q&A

家計診断Q&A

これから結婚して新しい生活を始めます。
子どもやマイホーム、老後に向けてどのように家計管理すればいいでしょう?


 

宮塚 達夫先生
(みやつか たつお)
プロフィール
  • まずは将来の目標を設定しましょう。
  • 目標に向かって節約をしましょう。
  • 目的別に貯蓄しましょう。

市川 健二さん(仮名 25歳 会社員)のご相談

今年結婚を考えていますが、2人とも貯蓄もほとんどなく、これから幸せに生活していけるのか心配です。
できれば30歳ころに子供が欲しいと思っています。
マイホームも欲しいですが、無理ならずっと賃貸でもいいと思っています。
結婚してちゃんと生活していけるのか、また結婚した場合どのように生活していけばいいのかアドバイスをお願いします。

市川 健二さん(仮名 25歳 会社員)のプロフィール

相談者 : 市川 健二(仮名 25歳 会社員)
  山田 幸(仮名 25歳 会社員)
手取り収入 : 健二様  月収 28万円  年間ボーナス 60万円  貯蓄0万円
  幸様   月収 22万円  年間ボーナス 50万円  貯蓄150万円

新生活を始める前に、2人でじっくりと長期計画を。
その実現のための家計プランを考えましょう。

将来の目標を設定しましょう。

結論から言うと結婚しても十分生活していけます。
2人ともまだ若く、計画的なお金の使い方をすれば、経済的に困ることはないと思います。
但し、そのためには長い将来を見据えた目標を2人でじっくり考えて、目標達成のために共に努力していくことが必要です。

目標の立て方ですが、老後生活であるとか、遠すぎる将来ばかり考えすぎると目標がぼんやりしてしまい、かすんでしまいます。近い目標と遠い目標をバランスよくミックスさせることが、目標達成のカギとなります。

具体的には

結婚→出産→教育資金→マイホーム購入→年金生活

といった流れを考えるのが、一般的です。
今回はこの流れにそって、具体的なイベントをひとつひとつ考えてみましょう。


結婚式

ご両親からの資金援助があれば別ですが、そうでなければ貯蓄が少ない2人には、今後のために無駄な出費を避けたいところです。
ご祝儀でトントンになるというような話がありますが、ご祝儀はあくまでも期待値なので、過度な思い込みは禁物です。結婚式自体や新婚旅行にはある程度の出費が不可欠ですが、披露宴の出費はできるだけ抑えたいところです。
この点、会費制の立食パーティー形式が資金計画を立てる上では優れています。ご祝儀は貰わない代わりに、パーティー会費を徴収する方法です。通常の披露宴だと、友人の場合2〜3万円のご祝儀が常識かと思いますが、パーティー形式だと1万円くらいの会費で済むことがほとんどなので、招待された方にも喜ばれるケースが多いのです。


結婚生活

お子様が生まれるまでの間に、どれだけ貯蓄を増やせるかがポイントです。出産後は奥様の収入が一時的に無くなる可能性が高いので、共稼ぎができるこの期間が最も重要なのです。
そのためには思い切った節約が必要です。
奥様の月収22万円をそのまま貯蓄しましょう。ご主人の月収28万円だけで毎月の生活をやりくりしてみてください。今まで独身生活を謳歌して、給料ほとんどを使いきっていた2人には絶対無理と思われるかも知れませんが、そんなことはありません。出産後のリハーサルだと思ってみてください。赤ちゃんが産まれたら、食費はもちろんおむつやミルクの出費だって必要なのです。

28万円で毎月生活するためには、まず家賃を低く抑えることです。多少通勤時間が長くなっても、多少築年数が古い建物でも、将来のためだと思って我慢してください。公団などの物件を探すのも一つの方法です。

あとは毎月のお小遣いです。
1人2万円でどうでしょうか。
独身時代の生活からは考えられない金額と思われるでしょうが、何といっても今までかかっていたデート代が要らなくなるのですから、少なめの金額で頑張ってみてください。

またマイカーをお持ちの場合、是非検討していただきたいのが、カーシェアリングの活用です。一台の車を何人かで使いたいときだけ使う方法で、最近はかなり多くの車両があちこちに配備されるようになってきました。
マイカーを維持していくためには、車両の購入費用、駐車場代、ガソリン代、保険料、車検費用などが必要ですが、カーシェアリングの場合使用料のみの負担で済み、12時間利用しても7千円程度しかかからないのが一般的です。週末だけしか車に乗らないといった家庭の場合、かなりの節約になるのです。

それでもどうしてもお金が足りない場合は、ボーナスで穴埋めしましょう。
よくあるパターンで毎月貯金せずに、ボーナスを貯蓄に回すという方がいらっしゃいますが、お勧めできません。ボーナスの金額は会社の業績などによって金額が上下するので、計画的な貯蓄には不向きなのです。毎月節約をして、どうしても足りない分をボーナスで補填することが、大切なのです。

補填した残りは日々の節約生活のご褒美にしてもいいでしょう。美味しいものを食べたり、旅行をしたり、好きな物を買ったりしましょう。もちろん残った分は貯蓄に回していただきたいものですが。


貯蓄方法

金利がとても低い現在、銀行にお金を預けてもほとんど利子は期待できないのが現状です。そこで、まず考えなければならないのが、公的制度の利用です。
お勤めの会社に財形制度があればまず利用してください。
現在預貯金の利子には20%の源泉分離課税が課せられていますが、元利合計で550万円まで非課税とされているからです。また毎月の給料から引かれるので、コツコツと積み立てることが可能です。
住宅取得時に融資を受けることもできます。


個人年金保険

個人年金保険の加入も有効な手段です。
コツコツと保険料を払って、老後に年金形式で受け取る民間保険会社の商品で、老後資金を計画的に準備することができます。銀行預金より利回りがよく、ある一定の条件を満たせば、個人年金保険料控除を受けることができるので、税金の還付も受けることができます。
但し、途中で解約した場合、解約返戻金が支払保険料の額を下回ることがあるので、無理のない保険料で始めることが重要です。


学資保険

教育資金に有効なのが学資保険です。
教育資金は小学校→中学校→高校→大学と決まった時期にある程度予測できる金額が必要になるため、あらかじめ目的を決めたお金として分けておくことが可能になるからです。
ひとり親になってしまった場合には、以後の保険料の支払を免除されて、給付は同じように受けられる商品などもあります。
以前は郵便局の商品が代表格でしたが、現在は民間保険会社で利回りも良く、魅力的な商品が開発されているので、比較検討してみるといいでしょう。


定期預金

前述したように、低金利なので、お金を増やすという意味では魅力的とはいえません。しかしながら、定期預金の効用はお金の流動性を抑制できることにあります。普通預金のように簡単に引き出せないからです。
また夏冬のボーナス時期には、特にネット銀行などは優遇金利キャンペーンをして、預金獲得を狙ってきます。長いスパンで見ると優遇金利を渡り歩いた場合とそうでない場合とでは、複利効果により大きな金額が違ってくることになるのです。

貯蓄のこつはコツコツと長く続けることですが、毎月自動的に預金通帳から引落されるしくみを使うことが有効です。また預金ごとに老後のため、住宅取得のためなどと目的を決めておくことによって、なおさら引き出せない状況を強調することができるからです。
通帳の表紙に何のための貯蓄かを大きく書いておくのも有効な手段です。


投資

超低金利の現在だからこそ、投資という手もあります。
もっともリスク許容度には個人個人で差があるので、万人の方にお勧めするわけではありませんが、ご自身のポートフォリオの中である一定割合を決めて投資するといった方法がお勧めです。
もちろん投資の場合は損する危険があるので、仮に損した場合でも将来の生活設計に影響が出ない範囲で行う必要があります。大きなリターンを得ようとすれば、当然大きなリスクを背負うことになるので、最初は低リスクの商品から始めましょう。
その場合でも、いきなり始めるのではなく、ある程度の勉強が必要です。最低でも標準偏差であるとかシャープレシオなどリスクに対する基本知識を理解した上で、商品を検討し分散投資を心がけるようにしてください。


保険

長い結婚生活が、いつまでも順調に続く保証はありません。
病気で入院したり、万が一のことがあった場合のためにはやはり生命保険や医療保険に加入しておいた方が安心です。もちろん手厚い保障をつけておいた方が安心なのは間違いないのですが、手厚い保障にはそれなりの保険料が必要となってしまいます。貯蓄の少ないご夫婦には保険料を低く抑えて、その分貯金に回すほうがいいと思われます。
万が一ひとり親世帯になってしまった場合、特にご主人に万が一のことが起きてしまった場合、お子様の世話で母親の収入も低くなってしまうという現状があります。しかし、遺族年金はもちろん、お子様の養育に関する各自治体の様々な優遇制度があり、またゴールドマンサックスなどの民間企業でもひとり親の支援をするなど、それほど心配しなくても大丈夫なのです。
保険料を低くするためには、各種共済やネット生保の定期保険などを比較検討してみてください。


住宅

持ち家(マンション)にするか賃貸住宅か迷うところですが、市川さんには持ち家(マンション)をお勧めします。持ち家(マンション)の場合、将来の修繕費用を準備しておくことが必要となり、家族構成の変化によって間取りを簡単に変更できないので慎重な住宅選びが必要となります。
しかし、市川さんの場合まだお若いので、十分なローン返済期間もあり、老後生活において、賃料負担がないことのメリットの方が大きいと思われます。年金収入しかない老後生活においては、毎月の赤字額を減らすことが最も重要ですが、賃料負担は大きな負担になるからです。
また老後生活で経済的に破綻しそうになった場合、不動産を持っていればそれを担保に融資を受けて生活資金に利用できるリバースモーゲージを活用することだってできるのです。


キャッシュフロー表を作成しましょう

毎月のお金の流れを決めたら、次は将来のお金の流れを考えましょう。その際に一番有効なのが、キャッシュフロー表を作成するという作業です。
筆者が作成した2人のキャッシュフロー表がこちらです。

<キャッシュフロー表を別ウィンドウで表示>

このキャッシュフロー表を見ると90歳時の貯蓄残が5,000万円以上あり、余裕のある経済的生活が送れることがわかります。悠々自適な老後が待っているのです。
しかし残念ながら、この表の数値は筆者が勝手に設定した下記の仮定条件によるものなのです。

仮定条件

  • 結婚費用は100万円
  • 奥様30歳で出産し、子育てに1年間専念。
    お子様1歳時から保育園を利用してパートに出て年間120万円の収入を得る。
  • 30歳でマンション購入。
    購入金額3,000万円(頭金1,000万円)
    30年返済(10年固定金利1.5% 以降変動3%とする)
  • ご主人の月収は55歳まで毎月1万円増えていく。
    55歳から60歳までは昇給なし。
    以後65歳までは年収360万円とする。
    ご主人のボーナスは一定。
  • 奥様の月収は29歳まで毎月1万円増えていく。
    奥様のボーナスは一定。
  • お子様の教育費は高校まで公立で、大学は私立文系で、文部科学省・厚生労働省の平均的教育費のデータ金額とする。
  • 預金金利はゼロとする。
  • お子様が産まれてもそれまでの家賃分が浮くので、生活費は生涯毎月28万円とする。
    賃貸の家賃、マンションの管理費・修繕積立金は生活費の中で管理。
  • 毎年の特別出費を50万円とする。
  • 年金は2人で年間250万円とする。

筆者が勝手に設定した条件なので、市川様にとって現実的とは思えないものが必ず含まれているはずです。この作業で大切なことは、将来の展望(仮定条件)を2人で話し合って、2人の現実的な条件に近付けていくことです。
一度話し合えばいいというものではありません。
何度も何度も常に見直しを繰り返していくことが大切なのです。
もっと生活費を切り詰めよう、あるいはもっと使っても大丈夫だ。
70歳まで働こう、あるいは老後はもっと豊かな生活ができそうだ。
もう一人子供がいても大丈夫だ。
いろいろな会話があるでしょう。
家族の将来は、2人にしか決められませんし、逆に言うと2人で決めることができるのです。

若い2人には時間という最大の武器があるのです。金利だって少しは上昇していくはずです。景気だってよくなるかもしれません。先を見据えて計画的にお金をコントロールすれば、絶対大丈夫です。
幸せな結婚生活を送ってください。


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