家計診断Q&A

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アベノミクスに乗って、これから投資を始めてみようかと思います


 

宮塚 達夫先生
(みやつか たつお)
プロフィール
アベノミクスを理解しましょう
リスク許容度を把握しましょう
分散投資を心がけましょう

近藤 昭雄さん(仮名 31歳 会社員)のご相談

最近、アベノミクス効果で円安になったり、株価が上昇したりしているので、自分も投資を始めてみようと思っていろいろな本を読んでみましたが、かえって迷ってしまいました。何からどのように始めたらいいのかアドバイスをお願いします。

近藤 昭雄さん(仮名 31歳 会社員)のプロフィール

職業 : 会社員 独身
  具体的な計画はありませんが、将来の結婚やマイホーム取得に備えて、毎月5万円夏冬のボーナスで別に20万円ずつ銀行の定期預金に積み立てをしており、現在550万円の貯金があります。

アベノミクスに乗るのなら、国内株式の投資信託からリスク許容度を超えない範囲で、分散投資を心がけましょう

アベノミクス効果を理解しましょう。

確かに最近の円相場や株価は動き過ぎかも知れません。しかし、黒田東彦総裁の日銀は2%の物価上昇を目標としています。達成できるかどうかは別にしても、今後しばらくの間物価が上昇するのは間違いないでしょう。物価上昇とは言葉の通り、物の価値が上がることです。毎年2%上昇すると、今年100万円で買うことができた物が、来年は102万円出さないと買えなくなってしまいます。10年後には同じ物を買うのに約121万9000円も必要となります。一方、銀行預金の金利はどうでしょうか?普通預金の金利は大手都市銀で現在0.02%ですが、過去の物価上昇時に物価上昇と同じペースで上がった例はありません。多少の金利上昇はあるにせよ、仮に現在の預金金利が続いたとすると、今持っている100万円は、10年後約100万2000円にしか増えておらず、そのお金で同じ物を買おうとすると20万円以上足りなくなってしまいます。このような事態を防ぐためには、せめて物価上昇率と同程度の利回りをキープする必要があり、普通預金など低金利で運用していたお金を他で運用する必要性が生じてくるのです。今回近藤さんが投資を始めようとしたのは、この点において絶好のタイミングだと思われます。

 

どのように投資すればいいのでしょうか?

そもそも今回の日銀の金融緩和とは何なのでしょうか?日銀が世の中に出すお金の量(マネタリーベース)を今後2年で2倍に増やすといっています。現在でも過去最大で、2012年末時点で138兆円あったマネタリーベースを、2014年末に270兆円にするというのです。実際には日銀が何をするかというと、銀行から国債や投資信託などをどんどん買って、銀行にお金を流します。そして銀行から企業や個人にどんどんお金を貸してもらって、世の中に出回るお金の量(マネーストック)を大きく増やし、世の中みんなでお金を使って、景気を良くしようというのが狙いなのです。

この段階で見逃してはならないことは、日銀が日本国債をどんどん買うと言っているのです。どんどん買うということは需要が高まるので、長期的にみると国債の価格は上昇し、逆に国債の利回りは低下していくことになります。さらに日本国債の利回りが下がるという予測は、円を売って他の通貨を買おうという動きにつながり、円安につながっていくというのが現実的な見方であり、現在の円安もこの観測によるものと考えられます。また円安が進むということは、自動車などの輸出企業にとっては、利益の増大につながることになります。逆に海外から輸入した原料を加工する企業にとっては、コスト高となり減収となってしまうのです。また過去の物価上昇時がそうであったように、都心部一等地の地価や賃料に値上がりの兆候が見え始めています。何に投資をすればいいのか、このあたりにヒントがありそうです。ただし投資に絶対はないということを忘れずに、あくまでも自分の判断で選んでください。

そしてここで重要なことはアベノミクスが出してくれたヒントを自分で理解した上で、決して偏った投資をしないことです。投資先を自分なりにバランスよく組み合わせて、いわゆる分散投資を心がけてください。分散投資の手法は値動きの違う資産を組み合わせることによって、資産の増減の幅(リスク)を小さくする手法なので、特定の資産が高騰した場合値動きの違う資産が逆に値下がりして、利益を小さくしてしまうことになります。しかしながら、逆に損失が出た場合にもその額を小さくしてくれるのです。投資に絶対はないのですから、ある程度のリスクヘッジをしておいた方が無難であると思います。

では、どの程度のヘッジをすればいいのでしょうか?これは個人のリスク許容度によってそれぞれなので、一概には言えません。インターネットや銀行、証券会社などで簡単に診断してもらえますので、ご自身のリスク許容度を是非診断してみてください。

 

FXはどうでしょうか?

新聞や雑誌などでも最近の円安によって、ミセス・ワタナベと呼ばれる日本の一般投資家が多額の利益を得ているなどの記事を目にすることが多くなってきました。FXは証拠金を預け、その最高25倍相当の外貨を売買できる金融商品で、少ない元手で多額の外貨を売買することができます。1ドル90円の時に9万円でドルを買った後、円安になり1ドル100円になったとします。倍率1倍なら買うことができるドルは1000ドルで、100円になったときの価値は10万円だから利益は1万円ですが、10倍なら10万円、25倍なら25万円になるのです。昨年10月に70円台であった円が今年3月には90円台に下落したのです。元手金額と倍率にもよりますが、大儲けをしたミセス・ワタナベが大勢いても不思議ではありません。またFXは倍率1倍なら基本的には銀行で外貨預金をするのと同じですが、銀行に比べて手数料が格段に安いのが特徴です。

さて近藤さんは今回FX取引を始めるべきなのでしょうか?長期的観点から1倍2倍程度の低倍率で始めるなら別ですが、高倍率で短期的な利益を狙うのは止めた方がいいのではないかと私は思います。今回の日銀の方針を参考に緩やかな円安傾向が続いていていく可能性があるかもしれません。但し、為替の動きというのは、世界中の国々の政治経済の状況や影響力のある人の発言によって、一瞬にして逆方向に動き出すことが多いからです。1日中パソコンの前で相場をチェックできる環境にあれば別ですが、会社員の近藤さんには無理ではないかと思います。FXは倍率を上げると損失も大きくなり、せっかく積み重ねてきた利益、あるいは元手さえも一瞬で無くなってしまうことがあるのです。投資の目的が将来の結婚であったり、マイホーム取得であったりする近藤さんには向いていないような気がします。

 

分散投資の方法は?

現預金・国内債券・海外債券・国内株式・海外株式・国内不動産・海外不動産・貴金属・穀物などありとあらゆる投資先があり、どれに投資すればいいのか悩むところです。どのように分散投資をすればいいのかが、そもそもの難問なのです。

一番簡単な方法は、インターネットや銀行証券会社で診断してもらったリスク許容度に適した資産配分比率のパターンをそのまま使ってしまうことです。そしてそこに国内株式の割合は20%と示されていたら、該当する金額でトヨタであるとか個別の国内株式を購入するのではなく、国内株式に投資している投資信託を購入するのです。こうすることによって、そもそも国内株式や海外株式など資産の比率で分散した各資産の中身までも分散することが可能になるのです。そしてこの段階でアベノミクスから得たヒントを活かしてみてはいかがでしょうか?ご自身でこの先輸出企業が伸びると思ったら、そういった企業に重点投資しているファンドを選んでみるのです。投資信託を購入すると個別の株式や債券を購入する場合に比べ、手数料が上乗せされてしまいますが、投資の勉強が進むまでの授業料だと思ってください。

投資を勉強していくと標準偏差だのなんだのと難しい言葉がいっぱいでてきますが、すべてを取り入れるのではなく、自分なりの指標を持って自分で判断していただければと思います。もっとも投資信託のファンドマネージャーという人々がしている仕事を自分でやろうとすると、ものすごく大変だということに気づいて、投資信託を購入し続ける人が多いのも事実です。

 

さいごに

投資に絶対はありません。しかし、国が景気を良くすると明言しているのです。投資を始めるにあたって絶好の機会であることは間違いありません。まずは無理のない金額で、勉強しながら試し試し始めていただければ、後悔することはないと思います。そしていくら儲かった場合でも、当初に決めた預貯金などの安全資産の割合を減らさないことが大切です。

 

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