家計診断Q&A

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28歳で心を入れ替えて初めての貯蓄、何から始めると良いでしょう?


 

宮塚 達夫先生
(みやつか たつお)
プロフィール
目標を決めましょう
財形貯蓄制度を利用しましょう
投資は勉強してから始めましょう

森田 進さん(仮名 28歳 会社員)のご相談

28歳の独身です。
現在貯金がほとんどなく、これではいけないと思い貯金や投資を始めようと思っています。給与振込銀行から財形貯蓄とNISA口座申し込みの勧誘がきて迷っています。
全く知識がないので、何からどのように始めればいいのか教えてください。

森田 進さん(仮名 28歳 会社員)のプロフィール

職業 : 会社員 独身
手取り月収 : 30万円
手取りボーナス : 夏40万円 冬60万円

貯蓄の習慣とお金が増える喜びを感じること、まずは給与天引きの財形貯蓄から始めて見ましょう。

最初に目標を設定しましょう。

今まで給料のすべてを自由に使っていた森田さんが、貯蓄を始めてまず感じるのが、お金が足りないという不自由さです。ランチやディナー、レジャーや洋服・車など、これまで自由に使うことができたお金が使えなくなってしまうのです。ついつい今まで通りの人付き合いや買い物をしてしまう。これではいつまでたっても貯蓄はできません。

貯蓄を成功させるコツは、何となく銀行に預けるのではなく、いついつまでにこういう事をしたいからこれだけの金額が必要だということを明確にすることです。結婚資金として3年後までに100万円貯める、あるいはマイホームを取得したいから頭金500万円を5年後までに用意するといったように、具体的な目的・時期・金額を設定しましょう。ここでは運用利回りは考えないでください。利息はおまけ位に考えておきましょう。
5年で500万円だったら単純に1年で100万円です。一番簡単なのは毎月の給料から均等して貯蓄していく方法ですが、いきなり毎月の給料だけから多くのお金を貯蓄するというのは、現実的ではないかと思いますので、ボーナスからもいくらか回すように考えたらいいでしょう。年間100万円だったら毎月5万円、夏冬のボーナスから20万円ずつといった具合です。目標をしっかり決めて貯蓄する金額も決まったら、次は貯蓄の方法です。

 

財形貯蓄を利用しましょう。

どんなに揺らぎない目標を設定したからといって、仮に月5万円でもきちんきちんと貯金していくのは容易なことではありません。今月は特別出費が多かったから、2万円だけの貯金にしておこうというような事になってしまいがちだからです。
そこでお勧めするのが、財形貯蓄なのです。最大の特徴は給与天引きであることで、前述したように今月は2万円でいいかというようなことが不可能になってしまうのです。給料日の朝、銀行へお金を下ろしに行ったときには貯蓄分が引かれているからです。
毎月の給与やボーナスから天引きし積み立てる財形貯蓄には、財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄・一般財形貯蓄の3種類があり、預け入れ先の金融機関や金融商品によって、貯蓄型と保険型に大別されます。貯蓄型は預貯金や公社債投信・株式投信等で積み立て、銀行や証券会社で取り扱っています。保険型は保険会社が取り扱い、保険商品で積み立てます。

ここで注意が必要なのは、投信などで積み立てた場合運用成績に左右されるので、元本割れする可能性もあるということです。ゼロから貯蓄を始めようとしている森田さんは、始めは預貯金などの安全な金融商品で積み立てて、確実に増えていく残高を目で見ながら実感していった方が、ハラハラドキドキせず貯蓄の楽しみを味わえるのではないかと思います。通帳を見てニヤニヤしている人の気持ちが解ってくるはずです。
3つの財形貯蓄は利用要件がそれぞれ異なるので、森田さんのニーズによって選んでみてはいかがでしょうか。それぞれを見ていきましょう。
まずは、貯蓄目的が決められている2つから。

【財形年金貯蓄】

目的 老後資金を目的とした貯蓄で、60歳以降に年金として受け取ります
年齢要件 契約締結時に55歳未満であること
積立期間 5年以上
積立の中断 2年間に限り中断可能
引出し 満60歳以降、5年以上年金として受け取る
据置期間 積立満了日から年金支給開始まで5年以内
契約数 1人1契約

【財形住宅貯蓄】

目的 住宅購入や新築、増改築等の資金を作るための貯蓄です
年齢要件 契約締結時に55歳未満であること
積立要件 5年以上。ただし、条件にあう住宅を取得する場合は、5年未満でもよい
積立の中断 2年間に限り中断
契約数 1人1契約

財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄共通のメリット

この2つの財形貯蓄最大のメリットは、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄あわせて元利合計550万円まで(財形年金貯蓄のうち郵便貯金、生命保険または損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険の掛金等に係るものにあっては払込ベースで385万円まで)から生ずる利子等が非課税扱いになることです。財形年金貯蓄にあっては、退職後年金支払が終わるまで非課税が続き老後生活を助けてくれるのです。
2013年1月1日から2037年12月31日までの25年間、預金・公社債の利子や投資信託の分配金・譲渡益等に対し、復興特別所得税として、元々の所得税額×2.1%が追加的に課税されることになりました。その結果所得税と復興特別所得税で15.315%、住民税が5%の合計20.315%が源泉分離課税されるので、この非課税扱いによる恩恵は相当大きくなる可能性があります。アベノミクスで金利上昇が予想されている今日ではなおさらです。
但し、それぞれの貯蓄目的以外で払い出す場合には課税されてしまいます。貯蓄型は過去5年間の利子に対しての源泉分離課税、保険型は積立開始からの利子全額が一時所得扱いになってしまうので注意が必要です。

一方、貯蓄目的を限定しないのが一般財形貯蓄です。

【一般財形貯蓄】

目的 積立の目的を問わない、一部引出しや解約などが自由にできる貯蓄です
加入年齢 制限なし
積立期間 3年以上
契約数 複数の金融機関と可能
積立上限金額 なし
税金 20.315%の源泉分離課税
払い出し 1年以内はできない

財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄に比べて、税金の優遇もなく1年間引き出せないなど、デメリットはあっても何のメリットもないようにも思えるのですが、金融機関によって差はあれ、普通預金に比べて若干金利が優遇されています。

 

3つの財形貯蓄に共通のメリット

  1. 会社によってまちまちですが、財形給付金(基金)制度がある会社なら、7年毎にボーナスのような給付金を貰えます。コツコツ貯蓄したご褒美だと思っていいでしょう。この給付金は課税されますが、一時所得として扱われるので50万円までは非課税で、50万円を超えても超えた額の2分の1に課税され、給与所得に比べて優遇されています。
  2. 財形住宅融資を利用できます。
    細かい要件もありますが、基本的には1年以上の継続した財形貯蓄をおこない、積立残高が50万円以上の人が対象となり、残高の10倍までで、最高額4,000万円(必要資金の80%上限)まで融資を受けることが可能です。公的融資としてはかなり高額まで借り入れることができるのです。金利も優遇されているので、住宅ローン借入の際は、選択肢の一つにしてみてください。
  3. これまでの記述で財形貯蓄のメリットはお判りいただけたかと思いますが、何といっても給与天引きと解約しにくいのが一番のメリットなのです。森田さんの場合はまず貯蓄するという習慣を身につける意味において、その効果は大きいのではないでしょうか。そして財形住宅貯蓄で住宅購入の頭金をつくり、住宅購入後は財形年金貯蓄で老後資金を蓄えるというような方法も検討してみたらいかがでしょうか。
 

NISAについて

森田さんは銀行から財形とNISAを勧められているとのこと。どちらもお金を預けて非課税枠があるという点では同じですが、性格は少し違います。
NISAとは2014年1月から始まる日本版少額投資非課税制度のことで、年100万円までの投資について配当や譲渡益が5年間非課税となる仕組みです。しかしあくまでも投資であるということに注意が必要なのです。国債を購入するのも通常投資といえますが、途中換金さえしなければ元本割れするリスクはありません。しかしNISAでは国債・社債・公社債投信などへの投資はできず、株式や株式投信の購入に限られてしまうのです。つまり元本割れする可能性のある商品にしか投資できないのです。森田さんはこれから将来の土台となる貯蓄を始めようとしている段階なので、前述したように元本割れするリスク商品への投資はひとまず保留しておいた方がいいのではないでしょうか。

またNISA口座は1人1口座しか作ることができないので、早く口座を開かせてしまおうとばかりに銀行や証券会社が積極的に勧誘しています。今口座を開設すればキャッシュバックいくらであるとか、定期預金の金利を優遇するなどさまざまなキャンペーンが打たれています。NISAの口座を開設するだけで損をすることはありませんが、金融機関にとっては顧客を囲い込む狙いがあるので、口座開設後さまざまな勧誘が待っている可能性があります。また一旦口座を開設すると4年間は金融機関を変えることはできず、金融機関によって取り扱う商品も違うので、口座開設は慎重にするべきです。実際に口座の運用が始まってから見つかる問題点もあるかも知れません。森田さんの場合、最初はNISAを利用せずに、財形貯蓄の非課税枠を利用して株式投信などを購入する方法もあるのです。

※NISAに関する詳細は、こちらの記事も参考にご覧ください。
「最近、金融機関から口座開設の勧誘が来ます。 新しい非課税制度ということですが、よくわかりません」。

 

さいごに

今後アベノミクスの思惑通りに経済が好転すれば、金利が上昇していくことが考えられ、その場合はある程度のリスク資産を保有していないと周りの金利上昇に追い付けなくなる可能性もあるでしょう。しかしながら、何事も土台が肝心です。まずはじっくりと貯蓄習慣を身につけて、お金が増える喜びを実感しながら少しずつ投資を勉強していけば十分間に合います。
森田さんが老後生活に入るまで30年以上あります。焦って投資を始める必要はまったくないのです。

 

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