家計診断Q&A

家計診断Q&A

住宅ローンを組んだのですが、返済期間中に
病気で仕事ができなくなったりしたらと不安です。


 

村井 英一先生
(むらい えいいち)
プロフィール
まずは、健康保険の傷病手当金について確認しましょう
所得補償保険(就業不能保険)という保険商品があります
保険料の負担とリスクの不安を比べて、加入を検討しましょう

伊達 直樹さん(仮名 37歳 会社員)のご相談

住宅ローンを組んで、マンションを購入しました。万が一、私が死亡した場合に住宅ローンの返済が免除される保険がついているそうです。しかし、病気などで長期に仕事を休むことになった場合が心配です。そのような事態に備える保険はありますか?

伊達 直樹さん(仮名 37歳 会社員)のプロフィール

家族構成    
伊達直樹さん : 37歳 会社員 年収480万円
妻 惠さん : 35歳 会社員
長女 麻衣ちゃん : 3歳

会社員には傷病手当金が支給されます。
保険では「所得保障保険(就業不能保険)」というものも。

 

1. 健康保険には、傷病手当金があります

伊達様、こんにちは。ご自宅を購入されたということで、嬉しい中にも、もしものことを考えると不安もありますね。ご質問にもありますように、銀行の住宅ローンを組む場合には団体信用生命保険に加入(借入金額に応じた保険料が必要)することができ、伊達様が万一お亡くなりになった場合には、住宅ローンの返済が免除されます。最近では、一定の病気になった場合にも住宅ローンの支払いが免除されるタイプもありますが、伊達様が加入されているのは、特約がないタイプのものですね。ご心配でしたら、しっかりと備えをして、不安を一掃したいものです。

病気やけがによる長期の療養での収入減に備える保険商品はありますが、その前に、公的医療保険について見てみましょう。公的医療保険には、会社員などが加入する健康保険、公務員などが加入する共済組合、自営業の人などが加入する国民健康保険があります。そのうち、健康保険と共済組合には、「傷病手当金」というものがあります

傷病手当金は、病気やけがなどで仕事に就くことができない日が4日以上あった場合に支給されます。支給額は、1日当たりの平均賃金に相当する額の3分の2です。その間、それ以上の賃金が支給されていれば傷病手当は支給されませんし、一部支給されている場合は差額が支給されます。支給の期間は、最長1年6ヵ月までとなっています。会社員や公務員などのお勤めの人の場合は、この傷病手当金で1年6ヵ月の間、ある程度の収入が確保できますので、安心です。もし、障害が残り、ずっと仕事ができない状態となった場合は、障害年金の支給を申請することになります。ですから、やみくもに不安になる必要はありません。

ただし、傷病手当金があるとはいっても、収入減になることには変わりありません。また、国民健康保険には、傷病手当金はありませんので、自営業者の人は自分で備える必要があります。

 

2. 所得補償保険を検討してみましょう

民間の保険会社の商品に「医療保険」があります。多くの保険会社から、多種多様なものが販売されています。これも、病気やけがで仕事ができない場合の収入減に備える手段となります。しかし、ほとんどの「医療保険」は、入院をしていることが保険金支給の条件となっています。退院して、あるいは入院がなく、自宅療養が続く場合の保障がありません。

それに対して、自宅療養も含めて、病気やけがで働くことができない場合に保険金が支給されるのが、「所得補償保険」です。「就業不能保険」とも言われます。扱っているのは、一部の損害保険会社、生命保険会社のみで、その数は多くはありません。

所得補償保険(就業不能保険)は、病気やけがで仕事ができない間、毎月保険金が出ます。先ほど述べましたように、入院が条件とはなっていませんので、自宅療養も対象になります。商品によって異なりますが、60日や180日など、仕事ができない状態となってから、一定以上の日数が経過すると、保険金が支払われるようになります。“仕事ができない”とは、「どのような仕事もできない」と医師の診断がある場合に限られます。したがって、「元の仕事に復帰できない」ということではありません。また、うつなどの精神障害は、対象とならない場合がありますので、事前の確認が必要です。

毎月の支給額は、加入する人の年収による制限の範囲内で、選択できます。もちろん、支給額が多いと保険料も高くなりますから、家計の状況と今後のライフプランを踏まえて検討することが大切です。

保険の対象となる期間は、商品によってかなり異なります。60歳または65歳までとなっている長期タイプと、1〜2年ごとに更新していく短期タイプがあります。また、単独の商品ではなく、死亡保険や医療保険に特約として付ける保険となっているものもあります。特約となっている場合は、主契約である死亡保険や医療保険に加入することが必要となります。

なお、似たような名前に、「収入保障保険」というものがあります。こちらは、死亡した場合に遺族に保険金が出る生命保険で、保険金が年金で出るものです。まったく内容が違いますので、ご注意ください。

 

3. 保険料の負担とリスクへの不安を比べましょう

病気やけがで、長期に働けない場合でも、住宅ローンの返済は続きます。一方、会社員であれば、1年6ヵ月は健康保険の傷病手当金が支給されます。また、傷病手当金の金額は十分ではありませんが、所得補償保険(就業不能保険)の保険金支給はいろいろな制約があります。さらに、所得補償保険(就業不能保険)に加入すると、住宅ローンの返済にプラスして、保険料の支払いが加わります。住宅ローンを返済しながら、保険料を払い続けていけるのか、十分に検討する必要があります。

伊達様の場合、これからお子様の教育費が増えていくことが考えられます。一方、ある程度お子様に手がかからなくなったら、奥様がパートなどで収入を得られるようになることが期待できます。それらを踏まえながら、将来の保険料の支払いに問題がないか、保険への加入が必要かどうかを検討してみてください。あるいは、一定の期間だけ加入するのも1つの方法です。

最終的には、保険料の負担感とリスクへの不安感のどちらが大きいかによって決まります。保険料の支払いが可能で、働けなくなった場合の不安が大きいようなら、加入を検討されるとよいでしょう。不安な気持ちを取り去ることができれば、保険料を払う価値はあります。一方、それほど心配でなければ、無理に加入する必要はありません。住宅ローンの返済と保険料の支払いに支障がなければ、どちらが“正解”ということではありません。お気持ちで判断されるとよいでしょう。

 

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