家計診断Q&A

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主婦も生命保険に加入した方がよいのでしょうか?


 

村井 英一先生
(むらい えいいち)
プロフィール
専業主婦が死亡した場合にも遺族基礎年金が支給されるようになります
これからは、専業主婦やパート主婦には、死亡保障は必要ありません
医療保険や貯蓄目的の保険は、検討するとよいでしょう

伊藤 かおりさん(仮名 35歳 パート主婦)のご相談

小学生の子供が2人おり、年間60万円ぐらいのパート収入しかありません。そのため、私自身は生命保険に加入していません。しかし、「専業主婦でも1,000万円程度の死亡保障は必要」との話を聞き、不安になりました。私も生命保険に加入した方がよいのでしょうか。住宅ローンの支払いがありますし、今後は教育費も増えると思うので、けっして余裕があるわけではなく、悩んでいます。

伊藤 かおりさん(仮名 35歳 パート主婦)のプロフィール

家族構成 : 本人:かおりさん (35歳 パート主婦 年収60万円)
  夫:豊さん (38歳 会社員 年収480万円)
  長女:麻衣ちゃん (7歳 小学生)
  長男:賢人くん (5歳 幼稚園)
  次男 純一郎くん 5歳

現在の家計の状況

<加入している生命保険>

保険種類 被保険者 契約者 保険料(月額) 保険金
定期保険 7,250円 2,000万円
医療保険 3,580円 入院日額5,000円
学資保険 長女 1万円 160万円
学資保険 長男 1万円 180万円

<住宅ローン>

ローン残高 金利
3,200万円(残りの返済期間:22年) 固定金利期間選択型(5年固定) 1.8%
※団体信用生命保険に加入

<貯蓄>

普通預金 250万円

年金制度の変更で、死亡保障の心配はなくなりそうです。
医療保険か、貯蓄としての保険を検討しましょう。

1.専業主婦が死亡した場合も、遺族基礎年金が支給されるようになりました

伊藤様、こんにちは。「主婦にも生命保険が必要」との話を聞き、急に心配になられたようですね。確かに、この考え方にも一理あります。しかし、この4月(平成26年4月)に状況が変わりました。その点を踏まえて考えてみましょう。

そもそも、生命保険は、なぜ必要なのでしょうか。思わぬ事態が起きた時に、家族が経済的に困ることのないように、助け合いの精神で“経済的な備え”をしておくのが生命保険です。一家の大黒柱である夫が死亡すると、それ以降の収入が減少し、残された家族の生活がたちいかないかもしれません。そのような事態に備えて加入しておくのが、死亡保険です。ご主人が、2,000万円〜3,000万円の死亡保険金のある生命保険に加入することが多いのは、このためです。万が一のことがあったら悲しいのは、家族の誰の場合でも同じです。ただ、生命保険は悲しみを癒すためのものではなく、あくまで“経済的な備え”つまり死亡保障として加入するものです。“経済的な備え”が必要なければ、生命保険には加入する必要がありません。

専業主婦の奥様に万が一のことがあっても、ご主人の仕事が変わらなければ、家族の収入が大きく減少することはありません。そのため、ご主人のように2,000〜3,000万円もの大型の死亡保障は必要ありません。しかし、まったく影響がないかというと、そうでもありません。まず、パートで収入を得ている主婦であれば、その収入がなくなります。さらに、家事や育児を一手に抱えていた奥様がいなくなることで、家事代行や保育所の費用がかかる可能性があります。ご主人が残業を抑えなければならず、そのための収入減も考えられます。そのため、できれば主婦であっても、1,000万円程度の死亡保障を検討した方がよいと言われていました。

ところが、この4月(平成26年4月)から状況が変わりました。遺族基礎年金というものの支給の条件が変わったのです。まず、遺族基礎年金についてご説明いたします。遺族基礎年金は、国民年金や厚生年金、共済組合などの年金制度の加入者が亡くなった場合に、遺族に支給される、国の年金制度です。(厚生年金、共済組合加入者には、さらに遺族厚生年金、遺族共済年金が加わります。)

支給されるのは、18歳未満の子供または子供がいる妻となっており、18歳未満の子供がいない場合は支給されません。一方、妻が死亡した場合は、18歳未満の子供がいても、夫には支給されませんでした。それが、平成26年4月からは、18歳未満の子供がいる場合には、夫にも遺族基礎年金が支給されるようになりました。

支給されるための主な要件は、次のようなものです。

  • 18歳未満の子供がいること。
  • 遺された妻(または夫)の年収が850万円未満であること。
  • 死亡した夫(または妻)が保険料納付していること。
    (20歳以降の2/3以上または直近1年間全て納付していれば、納付の要件を満たします。)

ここで、注意していただきたいのが、死亡した人の条件です。国の年金制度の加入者すべてが対象となります。そこには、「第3号被保険者」といわれる、お勤めの人の配偶者も含まれます。ということは、サラリーマンの妻が亡くなった場合、18歳未満の子供がいて、夫の収入が850万円以下であれば、夫に遺族基礎年金が支給されるようになる、ということです。

支給される年金の金額は毎年変わります。平成26年4月の場合、遺族基礎年金は77万2,800円。それに、18歳未満の子供がいると、第2子までは1人につき22万2,400円加算されます。

伊藤様の場合、お子様が2人ですので、遺族基礎年金は121万7,600円が支給されます。会社員であるご主人様が死亡した場合に支給される遺族厚生年金は支給されません。しかし、ご主人様の収入がそれほど変わらないとすると、十分に家計の補てんになるでしょう。

この点を考慮すると、家事代行や保育所の費用がかかることで支出が増え、残業を抑えることである程度の収入減があったとしても、専業主婦また収入の少ないパート主婦には“経済的な備え”つまり死亡保険は必要ないことがわかります。今までは、妻が死亡した場合には遺族基礎年金が出ませんでしたので、ある程度の備えが必要でしたが、年金制度の改正で、その必要性はほぼなくなったと考えられます。

 

2.医療保険への加入を検討しましょう

“経済的な備え”が必要なのは、死亡の場合だけではありません。大きな病気やケガで医療費がかさむ場合があります。そのような事態に備えて加入しておくものに、医療保険があります。

奥様が死亡した場合に遺族基礎年金が支給されることになりましたが、病気療養となった場合には年金制度からの給付はありません。長期の入院となった場合、医療費だけでなく、外部の家事サービスの利用や見舞いの交通費、その他さまざまな出費の増加が考えられます。そしてパート収入の減少も家計に影響を与えます。

そのような事態に備えて、専業主婦であっても医療保険への加入は、ぜひとも考えたいところです。入院日額5,000円の医療保険であれば、それほど大きな負担にはならず、いざという時に助かります。女性特有の病気への保障を手厚くしているものもあります。

遺族基礎年金の改正により、主婦の死亡保障については、今後はあまり必要性がなくなりました。“経済的な備え”という面で考えると、これからは医療保険への加入の方が重要となります。

 

2.貯蓄を目的とするなら、貯蓄性保険に加入するのもよいでしょう

生命保険への加入には、思わぬ事態が起きた時の“経済的な備え”以外に“積立貯蓄”という要素もあります。生命保険の保険料は、毎月払うものが多くなっています。この“毎月払う”という性質を利用して、毎月一定の金額で積立ての貯蓄ができるのです。もちろん、積立貯蓄は、積立定期預金などの預金商品や公社債投資信託などの運用商品でもできます。生命保険での積立貯蓄のメリットは、いざという時の備えをしながら、貯蓄もすることができる、という点です。代表的なものが、学資保険や個人年金、養老保険などです。死亡保険の中でも、一生涯の保障がある終身保険といわれるものは、中途解約をすることで積立貯蓄としても利用できます。

伊藤様の場合、すでにお子様2人について、学資保険に加入されています。児童手当を保険料に充てて、将来の大学進学費用の準備をされていますね。さらに、貯蓄のための保険加入が必要かどうかは、今後の家計の状況を踏まえて検討されるとよいでしょう。

 

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