家計診断Q&A

家計診断Q&A

がん保険の加入を検討しています。
いろいろ種類があってどれにすべきか悩んでいます。


 

宮塚 達夫先生
(みやつか たつお)
プロフィール
がん治療に必要な費用を把握しましょう
本当に必要な保障を考えましょう
費用対効果を考えましょう

塚田 稔さん(仮名 50歳 会社員)のご相談

子供も独立し、家計にも少し余裕が出てきました。現在医療保険には加入していますが、親戚ががんで亡くなったこともあり、かねてから加入を検討していたがん保険に夫婦で加入しようと思っています。しかし、いろいろな保険があって、どれに加入すればいいのか見当がつきません。アドバイスをお願いします。

塚田 稔さん(仮名 50歳 会社員)のプロフィール

家族構成  
夫 : 塚田 稔  50歳  会社員
妻 :     桃子 50歳  専業主婦
現在の貯蓄 : 1,800万円
考えている毎月のがん保険料  1人 月1万円以内

手術・治療費よりも入院・先進医療治療費の
高額負担に備えると考えて選びましょう。

厚生労働省の死因順位別の死亡数・構成割合によると、1980年代からがんが1位を独占し続けていて、今や男女とも一生のうちで2人に1人はがんになるといわれています。
親戚の方をがんで亡くした塚田さんががん保険に加入しようと思われるのもごもっともなことです。テレビでも様々なCMがオンエアされているので、尚更ですね。その上、先進医療を受けると何百万円も治療費かかるなどと耳にすれば、絶対に入っておかなければいけないと思っても当然です。ではどんながん保険が塚田さんにピッタリなのでしょうか?

がんにかかるといくら必要?

国立がん研究センターがん対策情報センターの最新統計(2014年)によれば、かかるがんの数は

  男性 女性
1位 胃がん 乳がん
2位 肺がん 大腸がん
3位 前立腺がん 胃がん

となっています。一方死亡数が多いのは、

  男性 女性
1位 肺がん 大腸がん
2位 胃がん 肺がん
3位 大腸がん 胃がん

となっています。

では、男女ともに患者数の多い胃がんにかかった場合、実際にいくら必要なのでしょうか?がんのステージにもよりますが、かなり症状が進行し、開腹手術や抗がん剤治療、放射線治療が行われた場合でも、厚生労働省の医療給付実態調査によれば通常は100万円程度です。
えっ!100万円も払えない。
そんな心配は要りません。健康保険を使えば窓口で負担するのは、通常3割で済むので、30万円程度だからです。

30万円でもきつい!
大丈夫です。重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引いたりした場合には、医療費の自己負担額が高額となってしまいます。そのため健康保険には、家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があるからです。

一般所得者の場合の月々の自己負担限度額は
80,100円+(医療費−267,000円)×1%

の算式で計算することができます。仮に医療費が100万円かかった場合でも、87,430円の自己負担で済み、払い過ぎたお金は概ね3カ月後には戻ってきます

87,430円でも、毎月は払いきれない。
ごもっともです。12ヶ月連続したら、100万円を超えてしまいますから。でも安心してください。4か月目からは44,400円の負担で済むようになるからです。

つまり、仮に12ヶ月連続で高額な治療費が発生した場合でも、
87,430円×3カ月+44,400円×9か月=661,890円

の負担で済むのです。もっとも現在がんの入院日数はどんどん短くなっており、ほとんどのがんでは30日未満です。がんにかかったからといって莫大な治療費の支出が発生するかというとそうでもないのです。また会社の健保組合によっては、さらに自己負担限度を低くしてくれる場合もあるので、事前に確認してみましょう。

しかし、高額療養費制度はあくまでも保険治療に関する費用に対してであって、入院中の食事、個室など有料の部屋を希望した場合にかかる差額ベッド代など、治療に伴う間接的な費用は対象外です。また、患者さん本人や家族の通院費、入院時の日用品代、お見舞いのお返し代なども実際には発生してしまいます。
もし塚田さん夫婦のどちらかががんにかかってしまった場合、いくら位の費用が発生してしまうのか、保険加入の前にシミュレーションして、貯蓄との兼ね合いで、本当に必要な保障はどの位なのか把握しておきましょう。なお仕事復帰までの所得損失の計上もお忘れなく。

 

先進医療特約って必要?

医学の進歩はめざましく、健康保険で認められている医療水準を超えた最新の医療技術が次々と出てきています。しかし現在我が国では、健康保険が適用される保険診療と、全額自己負担となる自由診療を組み合わせて受ける「混合診療」は原則として認められません。混合診療となると、保険診療分の治療費までも保険適用が認められなくなり、本来一部負担で済む治療費も全額自己負担する必要がありました。しかし、2006年に法律が改正され、健康保険対象外の治療の中でも、厚生労働省から「先進医療」として承認を受けた治療法であれば、保険診療と併用しても保険診療部分は3割負担で済むことが認められるようになりました。しかしながら「先進医療」の治療費部分はあくまでも全額自己負担です。「先進医療」のがん治療でよく耳にするのが「陽子線治療」や「重粒子治療」ですが、それぞれ費用は250〜300万円と言われています。

300万円なんて払えない。
そんな人にとって助かるのが、「先進医療特約」です。毎月100円程度の保険料を支払えば、「先進医療」にかかる治療費が保障されるのです。ただし、保険料が安いのは、あくまで「先進医療」を受けるケースが稀であるからなのです。
とはいっても、万が一の時のお守りに是非つけておきたい特約です。
それでもまだ心配だという場合は、自由診療も保障するがん保険もあるので、調べてみてください。

 

今どきのがん保険

現在のがん保険は「がん診断一時金」と「入院給付金」「手術給付金」が保障され、そこに「通院給付金」や「先進医療特約」などを付加していくのが一般的です。
しかし、前述したように医学の進歩はめざましく、治療法もどんどん新しい技術が出てきています。一昔前まではがんにかかって入院も手術もしないなんてありえなかったのに、現在では通院だけで完治することだってあるのです。この場合「入院給付金」や「手術給付金」の金額がいくら高くでも、保険金はもちろん貰えません。
そこで最近は「がん診断一時金」のみ保障したシンプルな保険も人気を集めています。もちろん保険金の使い方は自由です。
塚田さんご夫婦にピッタリなタイプはどちらなのかよく考えてみてください。

 

医療保険のバージョンアップ

新たにがん保険に入らないで、現在加入の医療保険にがん特約や先進医療特約を付加するプランも検討してみてはいかがでしょうか?
塚田さんの現在の貯蓄額からすると、がんにかかったとしてもすぐに家計が火の車になるということはないと思われます。しかし、前述した陽子線治療などの先進医療を受けた場合の出費を全額自己負担するのは避けたいところです。そこで、現在加入している医療保険に先進医療特約を付加する。それでも心配なら、がん特約を付加して入院給付金等を増額するという方法もあります。新たにがん保険に加入するよりも保険料を安くできるので、その分貯蓄に回してがんにかかった場合の出費に備えるという方法もあります。

 

費用対効果を考えましょう

保険に加入した場合の費用は保険料、効果は保険金です。がん保険に加入して効果を得るためには、残念ながらがんを発症することが必要です。がんにかかる確率は高齢になればなるほど上がっていきますが、それでも半分の人は費用のみ支払って、効果を得ないまま保険会社の利益に貢献する結果になっているのです。安心を担保したいがために保障を厚くして過大な保険料を支払うことだけは避けたいものです。貯蓄額と天秤にかけて、本当に必要な保障に絞った方が得策です。保険料が安くなった分のお金は人間ドックなどの費用に充てて、早期発見を心がけるのもいいかもしれません。
保険はあくまでも、万が一のために備えるお守りのようなものです。日々の充実した生活と健康管理が一番大切だということを忘れないで、塚田さんに最適な保険を見つけていただければと思います。

 

 

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