家計診断Q&A

家計診断Q&A

転勤で車が必要になり、購入しなければなりません。
自動車保険の選び方について教えてください。


 

宮塚 達夫先生
(みやつか たつお)
プロフィール
自分に合った自動車保険はどのタイプか考えましょう
車両保険は必要かどうか検討してください
絶対外せない特約加入を忘れないでください

新庄 豊さん(仮名 47歳 会社員)のご相談

現在都内に暮らしていますが、私の地方転勤が決まりました。今まで車は必要なかったのですが、車がないと生活できない地域らしいので、新車購入を検討しています。車の車種は決めましたが、自動車保険はどこの保険に加入すればいいのか決めかねています。保険選びのポイントについて教えてください。ちなみに夫婦とも長年運転をしていません。

新庄 豊さん(仮名 47歳 会社員)のプロフィール

家族構成  
夫 : 豊さん    47歳 会社員
妻 : みのりさん 45歳 専業主婦
長男 : 明くん    7歳
長女 : みゆきさん 5歳

保険料を安く済ませるか、より手厚いサポートを望むか
そのバランスで保険内容や特約を取捨選択しましょう。

ダイレクト型自動車保険か代理店型か?

現在、ゴールド免許だと保険料が安くなるとか、走行した距離によって保険料が安くなるといった自動車保険のCMなどがいっぱい流れています。いわゆるダイレクト自動車保険です。
これに対して、昔からある損害保険会社の代理店を通して加入する代理店型の自動車保険があります。
代理店を経由して加入する従来の自動車保険に対し、代理店を介しないダイレクト損保の方が、人件費がかからない分だけ保険料が安いのが一般的です。保険料の安さを一番に考えるなら、ダイレクト自動車保険を選んだ方がいいでしょう。もっとも、勤務先の会社で大型団体契約をしている保険会社がある場合は、かえって安くなることもあるので、まずは見積もりを取ってみましょう。保険料の割引優遇だけでなく、さまざまなサービスが付帯されていることもあります。

一方、代理店経由の保険のメリットは、身近にいつでも相談できる人がいるという点です。万が一交通事故を起こしてしまったとき、保険会社本体の人間が事故現場にやってくることはありませんが、代理店の担当者なら事故現場に駆けつけてくれて、事故処理をしてくれることもあります。レッカーの手配や修理業者の手配、相手対応などです。現場で事故相手が激怒していることは珍しいことではありませんが、そんなときに、事故処理に慣れた代理店の人なら、相手との間に入ってくれることだってあります。もちろん契約内容の相談にも乗ってくれます。見知らぬ地方に転勤される新庄さんの場合、車の購入店を代理店(自動車ディーラーの多くは保険の代理店でもあります)にすると一層親身になってくれるはずです。

保険料の安さを重視するか、代理店のメリットを優先するか、自分に合ったタイプを選択することが重要です。

 

車両保険はどうするか?

他人に怪我をさせてしまったり、死亡させてしまったりしたときの為の対人保険、他人の自動車や物を壊してしまったときの対物保険については、限度額無制限の契約にすることはもはや常識です。中には対物保険はそんなに必要ないのではと考える方もいらっしゃいますが、多重衝突事故(いわゆる玉突き事故)など起こしてしまった場合に備えておくべきだからです。

では車両保険はどうしたらいいでしょうか。車両保険は、自分の車の損害に対する保険で、加入しておいた方がいいことは間違いないのですが、保険料が意外と高いので加入するかどうか悩むところなのです。自分の車の損害に関しては、その位の貯蓄はあるから大丈夫という場合は無理に加入する必要はありません。

しかし、長年運転をしていない新庄さんご夫婦の場合、運転操作を誤って車に損傷が生じることも考えられます。また、相手のある交通事故は自分の責任だけで起きるわけではなく、双方に責任が生じるケースが多いのです。例えば信号のない交差点で、相手が一時停止を無視して進入したために、出会い頭で接触してしまった事故。相手の一時停止無視がなければ事故は発生しなかったに違いありません。しかしながら、通常の示談交渉の結果は、双方に過失責任が生じる場合がほとんどなのです。この場合に、仮に一時停止無視をした相手運転者の過失が7割、新庄さんの過失が3割で示談が成立し、新庄さんの車の修理費用が100万円だとします。新庄さんの車の修理費用については相手から100万円×7割(相手過失分)=70万円が支払われますが、修理費用100万円には30万円不足してしまいます。車両保険に加入していれば、この30万円を補填してくれますが、加入していなければ、新庄さんのポケットマネーからの負担となってしまいます。新庄さんの貯蓄額と保険料を照らし合わせて加入の有無を検討してみてください。

新庄さんが車両保険に加入することにした場合には、もうひとつ悩ましい問題があります。車両保険にはほとんどの車両損害をカバーするオールリスク型と、車と車との接触や災害・いたずらなどの被害に限定されたタイプがあり、当然保険料に差があるからです。

限定タイプの主なデメリットは次のようなものがあります。

  1. 自転車やガードレール・車庫など、車以外との接触事故での損傷は対象外
  2. 加害者が見つからない当て逃げ被害の損傷は対象外

やはり、保険料と貯蓄額との兼ね合いで判断するしかなさそうです。
さらに、新庄さんが車両保険加入を選択した場合、転勤先にもよりますが、海や川が近いといった特殊な場所であれば、地震津波災害時特約をつけておくという手もあります。通常の車両保険では地震や津波による車両損害は対象外になってしまうからです。

 

弁護士費用特約は必ずつけましょう

赤信号で停止していたときに後方から追突された。当然責任は全部相手にあります。後の処理は保険会社に全部任せておけばいい。そう思うのは当然です。しかし、この場合保険会社は示談交渉をしてくれません。新庄さんに少しでも過失がある場合、保険会社は示談代行してくれますが、相手に全面的に責任がある事故の場合、相手側との交渉は自分で行わなければなりません。保険会社が弁護士法違反となってしまうからです。相手側が保険会社の場合まず問題はないのですが、交渉困難な相手であった場合(自動車保険未加入者や反社会的な人など)には、泣き寝入りなんてことにもなりかねません。しかしこの特約があれば、弁護士に委任して解決してもらえます。

 

個人賠償責任特約も忘れずに

日常生活の事故による賠償責任を補填する保険です。小さなお子様がいると何が起こるか分かりません。自転車に乗って事故を起こしてしまった場合や、遊んでいる最中に友達をケガさせてしまった場合など、この特約をつけておけば安心です。自転車を運転中に散歩中の女性と接触し、寝たきり状態にさせてしまった小学生の親に9,500万円の賠償額を命じた判決もありました。自転車事故での賠償額も高額になっているのでリスクヘッジしておきましょう。
なお、この弁護士費用特約や個人賠償責任特約は、この特約を使った場合でも、いわゆる事故カウントには影響しませんのでご安心ください。
また1台の車に特約をつけておけば家族全員補償されて、特約保険料も安いのが魅力です。
カード会社などで、個人賠償責任保険を既に契約済みの場合は、どちらがお得か比較検討してみるといいでしょう。

 

保険金請求は慎重に

保険会社が決まって、無事契約が終わってひと安心です。しかし、万が一事故が起きてしまった場合、どんな場合でも保険を使ったほうがいいかというとそうでもないので注意してください。もちろん事故が起こった場合は、どんな些細な事故でも保険会社に迅速に連絡し、当該事故を担保する補償はどんな内容かを確認して、相手がある事故なら示談代行を、単独事故なら修理工場との連絡、必要によってはレッカー手配などを依頼してください。
問題はこの後で、保険金を請求するとほとんどの事故の場合、割引率が変わってしまうのです。下記の表を見てください。

【等級別事故割引率】

  率(%) 割引率(%)
等級 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
無事故 64 28 12 2 13 19 30 40 43 45 47 48 49 50 51 52 53 54 55 63
事故有 64 28 12 2 13 19 20 21 22 23 25 27 29 31 33 36 38 40 42 44

継続して契約した場合の割引率なのですが、7等級以上の場合、無事故の場合と事故有の場合の割引率が大きく違ってきてしまうのです。今回新庄さんは新規契約なので、6等級から始まることになりますが、初年度の割引率はこの表の6等級の割引率よりも低い割引率になります。しかし、1年間無事故であれば、次年度は無事故7等級になり割引率は30%です。さらに無事故の年が続けば、毎年1等級ずつ上がっていくことになります。

仮に車両保険(免責金額0万円)に加入した新庄さんが無事故14等級の年に単独事故を起こしてしまい、修理金額が10万円だったとします。その年の保険料は年間10万円です。14等級の新庄さんの割引率は50%なので、本来の保険金額は20万円です。
この事故で保険を使った場合、来年の等級は3等級ダウンし、事故有の11等級になってしまい、割引率は25%になってしまいます。実際には車両本体価値が目減りするのでもう少し安くなりますが、本来の保険料が変わらず20万円のままだと仮定して計算すると、来年の保険料は15万円です。さらに事故有等級から抜けだすのに3年かかってしまうので、保険を使った場合と使わない場合の支払保険料は3年間だけでも15万円の差額が生じてしまうのです。

等級 11 12 13 14 15 16 17  
無事故割引率(%) 47 48 49 50 51 52 53
事故有割引率(%) 25 27 29 31 33 36 38
無事故保険料(円)       100,000 98,000 96,000 94,000 合計 288,000
事故有保険料(円) 150,000 146,000 142,000         合計 438,000

今、必要な修理費用10万円を保険で補填するのか、長い目で見て今回は保険金請求を見送るのか、事前に等級ダウンした場合の来期保険料を見積もってもらうことが重要です。

 

まとめ

自動車保険も生命保険と同様、万が一の場合の家計をリスクヘッジするものです。あれもこれもと特約をつけてしまうと保険料も高くなってしまいます。現在の貯蓄額を十分考慮して保険内容を検討しみてください。

 

 

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