家計診断Q&A

家計診断Q&A

親からの援助無しに2世帯住宅を建てています。
税金や登記費用などを節約するには?


 

鈴木 暁子先生
(すずき あきこ)
プロフィール
  • ご自身で登記も可能。経験すると得るものも多いです
  • 贈与とみなされない登記をすることが最優先
  • 今後のライフスタイルの変化にも対応できる家計づくりを

浅井 美和子さん(仮名 28歳・会社員)のご相談

今春、結婚・入籍予定です。すでに土地を購入し、現在新居(彼の両親と暮らす完全分離型二世帯住宅)を建築中です。

  • 土地購入費用、建築費用はすべて子名義
  • 住宅ローンも2人の名義
  • 親からの費用負担は一切なし

土地の登記は旧姓でしていますが、結婚して私の苗字が変わるにあたり、どのような手続きが必要ですか?司法書士さんに依頼しないといけませんか?
また、建物の登記は「子世帯分は彼」「親世帯分は私」のように区分登記したほうが良いでしょうか。

浅井 美和子さん(仮名 28歳・会社員)のプロフィール
※婚姻前ですが、便宜上家族扱いとしています。

家族構成 : 本人
婚約者(28歳・会社員)
義父(62歳・フリーター)
義母(57歳・会社員)
世帯収入 : 約800万円(本人と婚約者分)
住宅ローン : 2人の連帯債務で組んでいる
住宅資金の支出割合 : 7(婚約者):3(本人)

登記は自分でも可能ですが、実態に合わせないと思わぬ課税も
将来の負担増に備えて、今のうちに貯蓄を心がけましょう

1.自分で登記をすることで得られるものは多い

浅井さん、こんにちは。まもなくご結婚とのこと、おめでとうございます。ご結婚前にすでにマイホーム購入。しかもご両親からの援助は一切なく、お2人の資金でというのは驚きました。すばらしいですね。

さて、土地の登記についてですが、旧姓から結婚後の姓に変更する場合は、「所有権名義人変更登記」を行います。
登記は司法書士さんに依頼しないといけないと思っていらっしゃる方も多いのですが、実は自分で行うことも可能です。名義変更であれば特段複雑なこともないので、ぜひご自身でトライしてみてください。

申請フォームや必要書類、注意事項などの説明は法務省のHPからダウンロードできます。
なお、オンライン申請もできるようになりました。

http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI79/minji79.html
(11番をご参照ください)

費用としては登録免許税1,000円程度です。その他としては必要書類発行費用、変更後の謄本代、郵送であれば郵送代などですが、たいした金額にはならないでしょう。司法書士さんに依頼するとその費用が余分にかかります。

このような手続きをご自身でされると、登記簿の見方もわかりますし、権利関係などが理解できると将来の相続時にも役立ちます。費用面でオトクであることはもちろんですが、それ以上にこのような知識を得られることのほうが、はるかに重要なことだと思います。
余談ですが、何十年後に住宅ローンを払い終えたら、その時は抵当権抹消登記に挑戦してみてはいかがですか。払い切った達成感がより感じられると思いますよ。


2.登記はオトク感ではなく、実態どおりに

お2人で登記する場合、形態としては区分登記や共有の登記などが考えられます。
区分登記のメリットは、将来分けやすいこと。ただし登記は2本となるため、事務的な費用も2倍かかります。一方共有は1本の登記ですので、事務的費用は安く済みます。ただし物理的に分けるのが難しくなります。

しかしこの場合、注意すべきは分けやすさではなく、登記の実態が適切かどうかということです。持ち分を登記する場合、資金の出所(誰がどれくらい支出したか)と持分には密接な関係があり、原則は「資金の支出割合に応じた持ち分」です。

婚約者と美和子さんの支出割合は7:3くらいとのことですので、親世帯分を美和子さん名義、子世帯分を婚約者名義というように分けると、おそらく美和子さんは実際の支出割合より多い持ち分になるのではないでしょうか。実際の支出割合と異なり、半分ずつとか、単純に分けやすいように持ち分を決めてしまうと、それだけの資金を支出していないのに不動産を所有することになります。結果、婚約者から美和子さんへの贈与があったとみなされ、贈与税が課税されるおそれが十分にあります。
その意味からは区分登記はお勧めしません。ちなみに共有名義であっても持ち分の考え方はもちろん同じです。したがって実際の支出割合に応じた持ち分で登記しないといけません。

持ち分の決め方としては「持ち分割合=支出の資金/不動産の購入費用」となります。
お2人の場合はこれが7:3ということですので、基本的にはこの割合で持ち分を登記することになります。

購入費用にはローンの借入金のほか、

  • 売買契約書印紙代、仲介手数料
  • 土地や建物の不動産取得税、登録免許税、登記費用(印紙代、司法書士報酬など)
  • ローン契約書印紙代、ローン事務手数料、ローン保証料
  • 抵当権設定の登録免許税、登記手数料
  • 団体信用生命保険料

など、借入金とは別枠で負担するものもあります。
それなりの金額になりますので、どちらの支出かわかるようにしておきましょう。

また、税金は解釈が厳格ですので、自分では大丈夫と思っていても課税対象とみなされることも少なくありません。念のため、自治体の無料相談会などで税理士さんに最終確認をしておくことをお勧めします。

なお、住宅ローンの形態はお2人の連帯債務とのことですので、住宅ローン減税は婚約者、美和子さんそれぞれが使えます


3.今後のライフプランの変化に対応できる家計づくりを

美和子さんカップルは、まだ20代。これから結婚、出産・育児を経て、家族構成やライフスタイルがどんどん変化していくことでしょう。そのような時でも家計をしっかり管理していけるよう、今から準備を始めていきましょう。

お子様ができるまでは第一の貯め時です。お子様が生まれると、美和子さんが仕事を続けられなくなる可能性もないわけではありません。また、お子様の教育費がかかる頃になると、ローン返済と教育費支出のダブルパンチが家計を圧迫してきます。予定以上の教育費や将来の繰上げ返済資金としても対応できるように共働きのうちにしっかり貯蓄を増やしておきましょう。

出産、育児などで美和子さんが退職され、ローンの返済が難しくなると、実際には婚約者(その頃にはご主人)が負担することになるかもしれません。その場合は贈与となってしまいますが、年間110万円(贈与税の基礎控除額)の範囲内であれば贈与税の心配はないでしょう。ただし、贈与の場合、きちんと贈与だということを認めてもらえることがポイントです。
もしそのような状況になった時は、やはり自治体の無料相談などで、税理士さんにご相談されることをお勧めします。

お2人の力だけで購入した新居で、新しい生活を迎えられる春が待ち遠しいですね。 美和子さんは、家計や税金のことなど興味を持たれていらっしゃるので、しっかり家計管理ができると思います。頑張ってください!


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