家計診断Q&A

家計診断Q&A

28歳独身ですが、すでに老後が心配です。
初心者でも簡単にできる運用を教えてください。

今回、回答いただく先生は…
 

鈴木 暁子先生
(すずき あきこ)
プロフィール
  • 資産形成は運用も必要ですが、リスク軽減の工夫を忘れずに
  • 実践と失敗を繰り返しながら自分なりの投資スタイルを作っていきましょう
  • 変化するライフプランに対応できるマネープランを作りましょう

神谷恵子さん(仮名 28歳・会社員)のご相談

毎月3万円ほど貯金していて預金が200万円あります。 このままで計算すると60歳になったときの預金は1350万ほどです。 老後の事も考えて、少しでも多く貯めておきたいのですが、銀行に預けても金利が低くて悩んでいます。初心者でも簡単にできる運用を教えて貰えないでしょうか。

ご相談者のプロフィール

家族構成
家族 本人収入(手取り) 貯蓄額
本人
28歳(会社員)
約250万円(月:約16万円、ボーナス:約58万円) 約200万円
その他 貯金 2万円/月(定期預金)
1万円/月(一般財形貯蓄)
現在は自宅通勤

一番の貯めどきの今こそまず貯蓄の積み上げを
運用は中期・長期の計画を立ててバランスよく

1.毎月+ボーナスからの貯蓄でペースアップしましょう。

神谷さん、こんにちは。最近は老後の心配をする若い方たちが増えています。公的年金が65歳にならないともらえない上に、それまでにできるだけ貯めておきたいと思って貯蓄をしてもこの低金利。心配にもなりますよね。

長い人生の間には貯蓄しやすい時期もあれば、伸び悩む時期もあります。貯蓄しやすい時期を貯めどきと言うのですが、第一の貯めどきは社会人になって独身の時第二の貯めどきは結婚して共稼ぎをし、お子様の教育費がそれほどかからない期間、そして第三の貯めどきはお子様が学校を卒業後、退職するまでの期間です。

多くの家計は、30代半ばから50代前半にかけて住宅ローンと教育費のダブルパンチとなるためその時期は余裕がなく、貯蓄も伸び悩む傾向にあります。したがって若い時の貯めどきにしっかり貯めておかないと、老後資金準備が苦しくなります。神谷さんはまさに貯めどきの真っ只中におられます。すでに貯蓄の習慣はついていますので、ステップアップしたいところですね。

これからの時代、特に若い世代の方の資産形成は、貯蓄だけでなく多かれ少なかれ運用も必要だと思っています。ただし資産形成は運用ありきではありません。運用を取り入れるにしてもリスクはできる限り軽減することが鉄則です。

たとえば同じ目標額を目指す場合、貯蓄だけでは目標に届かず、それを運用で埋めようとすると、右図のようになってしまいます。運用で準備しなければならない割合が高いほどリスクは高くなります。

また同様に同じ目標額を目指す場合、準備する期間が短いほど運用の効率を上げないといけない(角度が急)、つまりリスクが高くなるということです。神谷さんは60歳まであと32年ありますので、まさに時間を味方にすることができます。

その意味で、神谷さんは貯蓄の習慣はついています。自宅通勤者であれば、最低でも手取り給与の2割を貯蓄目標としましょう。現在、毎月のお給料からは貯蓄に回していますが、ボーナスでは貯蓄がありません。たとえばボーナスから20万円を貯金に回したとすると毎月の貯蓄と合わせて年間56万円。手取りの2割超になりますよね。今後毎年ボーナスからも20万円を蓄えていくと、60歳までにその分だけでも640万円上乗せできます。

2.低リスクの商品を使いこなしましょう

運用といってもリスクはピンキリです。まずは低リスクの商品からスタートしましょう。スタートしやすい商品としては変動金利型10年物個人向け国債があります。現在スーパー定期では0.01%程度の金利しかつきませんが、個人向け国債は0.05%(20.315%の税引き後は0.0398%)の最低保証金利があるため5倍の金利がつくのです。そのためマイナス金利導入以降、ちょっとしたブームとなっています。例えば100万円分購入し、もし今後も世の中の金利が変わらなかったとしましょう。その場合、1年間につく金利は500円(税引き後は398円)。10年間で5,000円(税引後は3,984円)となります。原則1年間は解約できませんが、1年経過すれば途中解約でもペナルティはありません。さらに変動金利ですので、世の中の金利が上がるようになれば、10年物個人向け国債の金利も上がっていきます。なお、定期預金は固定金利の商品なので、預入れをした時の金利がそのまま満期まで変わりません。

個人向け国債は3年物、5年物もあり、10年物と同様0.05%の金利が最低保証されています。ただしこちらは固定金利ですので、定期預金と同様に、今後世の中の金利が上昇しても購入時のまま(現在であれば税引き前0.05%)の金利が続きます。今後さらに金利が下がっても0.05%の金利は確保されるのですから、逆に金利上昇にも対応できる変動型10年物のほうが使い勝手が良いでしょう。

ほかにも、以前から金融商品にアンテナを張っている人にはチェックされていましたが、店舗型の定期預金よりも高めの金利が設定されているところが多いネット銀行の定期預金も注目度が急上昇しています。マイナス金利導入後は従来の条件(金利、預入れ限度額など)がかなり下方に変更されたものの、地方の金融機関によっては税引き前0.25%(税引後0.199%)の金利がついているところもあります。この場合は、100万円預け入れると1年間で1,990円になります。

また老後資金準備としては、年金財形貯蓄もオススメです。貯蓄額と利息の合計が550万円(保険型の商品の場合は払込保険料が385万円)までは非課税扱いになるというものです。通常利息には20.315%課税されますから「非課税」という恩恵は非常に大きいのです。 これについても今後毎月1万円ずつ積み立てていくと元本が400万円近くになります。会社に財形制度がある人が使えるものなので、検討してみても良いでしょう。

ただし、原則60歳以降に年金として受け取るものなので、災害や病気などやむを得ない事情で税務署の確認を得た以外の理由で引き出すと、引出時に利子に課税されます。また非課税限度枠を超えてしまうと、その後に生じる利子については課税されますので、その点は注意してください。

3.リスク軽減の工夫で、運用の幅を広げていきましょう

さて、ここまでは極めてリスクが低めの運用をご紹介しましたが、少しリスクを許容できるようになると、資産形成の選択肢の幅が広がります。以下の点を意識して選択しましょう。

・自分のライフスタイルに合っている
わかりやすい
少額投資が可能
コストが低め

ご自身が商品の中身を理解していることが大前提です。したがってしくみを理解できたものでなければ手を出してはいけません。

少額からでも投資が可能なことも、一歩を踏み出すハードルを下げてくれます。利子が付く貯蓄と違い、積極的に運用していく商品は手数料などのコストがかかります。もちろん、元本割れのリスクもあります。運用コストがかかるとその分効率を下げることになるので、運用コストが低めであることも重要なポイントです。また、神谷さんは会社員ですから、事あるごとに値動きをチェックしながら頻繁に売買するなど手間をかける運用は向いていません。

このような条件で見ていくと、プロに運用を任せられ、毎月5,000円や1万円程度から投資できる投資信託がスタートしやすいと思います。中でも東京証券取引所に上場している株式の値動きに連動するTOPIX連動型日経平均株価連動型の投資信託は初めての投資信託には向いた商品です。 日本の株式の状況であれば新聞やニュースで情報量も多いですよね。経済ニュースの最後には、指標となるTOPIXや日経平均株価がテロップで出されますし、証券会社の前を通ればボードに表示されているというように、いやでも目や耳に入ってきます。
これらは投資信託の中でも比較的コストが安いことも特長です。ネット証券を含む多くの証券会社は、積立投資といって毎月一定額を自動的に買い付けてくれるしくみがあるので、ご自身で都度買い付ける手間もありません。

今回のご質問は「初心者でも簡単にできる運用」とのことでしたが、簡単というのはスタートしやすいという意味で回答しております。決して知識がなく、運と勘だけでもできるという意味ではありませんよ。

資産運用は理屈がわかっていても教科書どおりにはいきません。経済は生き物です。今後、リーマンショック再来のようなことも有り得ます。そのような状況でも資産を形成していくには実践で少しずつ経験を積み、成功と失敗を繰り返しながら自分なりの投資スタイルを作っていくしかありません。そのため「勉強代」として仮に失敗しても生活に支障のない範囲でやっていくようにしましょう。

4.変化するライフスタイルに対応できるマネープランが重要です

今回はこのまま60歳までお勤めを続ければという前提でお話ししましたが、神谷さんは今後、結婚、出産などでライフスタイルが大きく変わる可能性があります。たとえば退職せざるを得ないこともあるかもしれません。その場合、先ほどご紹介した年金財形貯蓄は解約することになります。

老後資金のご心配をされ、早い時期から準備するのはとても良いことではありますが、ご自身のキャリアアップや結婚資金など、それ以前に必要な資金もあるかと思います。年金財形貯蓄のような老後資金準備専用の商品や、長期運用が基本の積立投資など、引き出しにくい商品ばかりを活用すると、直近に必要な資金を準備できなくなります。

ですから、一部は流動性(引き出しやすさ)を重視した普通預金などに振り分けておくことは必要です。その上で中期から長期の運用商品を組み合わせてください。中期では5年程度預けておくことができ、普通預金よりも高めの金利が望める定期預金、個人向け国債など。長期ではリスクを取りながら運用していく積立投資、老後資金準備のための年金財形貯蓄、個人年金保険など。目的に合わせて商品や運用期間を定めていくことが重要です。そのためにはまずご自身のライフプラン(もちろん、結婚、出産など仮定でかまいません)やキャリアプランをイメージすることから始めてみましょう。

 

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