家計診断Q&A

家計診断Q&A

次男ですのでお墓を買おうと思っています。 どのような注意点がありますか?

今回、回答いただく先生は…
 

井上 信一先生
(いのうえ しんいち)
プロフィール
  • お墓に対する考え方は十人十色となりつつあります
  • お墓選びはマイホーム選びと似ています
  • 老後生活の価値観が定まってからでも遅すぎることはありません

若林邦男さん(55歳 仮名)のご相談

私は次男のため定年前にはお墓を買おうと思っています。
65歳で住宅ローンの完済を予定しており、子どもの教育費もかからなくなりました。しかし老後の資金を考えると、できるだけ出費は抑えたいものです。
お墓を買うタイミングや注意点などあれば教えてください。

ご相談者のプロフィール

家族構成
家族 年間収入 現在の貯蓄額
本人
55歳
会社員
540万円 1,000万円
その他:住宅ローン返済額 月額11万円
配偶者
54歳
-
長男
27歳
-
次男
23歳
-

お墓選びは老後生活の収支にも影響し、承継問題も伴います。
決して焦らず、じっくり検討していきましょう。

お墓の建立は確実に先々にまで影響します

若林様、ご相談ありがとうございます。
生前にお墓を建てることは「寿陵」といい、長寿を招くなど縁起が良いそうですね。また、「家は一生、墓は子々孫々末代まで」ともいいます。若林様の建てられたお墓は、奥さま、ご子息、ご子息のお子様、その子・・・と、永きに渡り引き継がれていくことになるかもしれません。それゆえ、とても慎重にお考えのことと思います。

昨今では、埋葬のしかたやお墓のあり方自体も様々。管理等の煩わしさを残したくない理由から、永代供養墓を選ばれる方も増えています。いわゆる樹木葬などもその1つですね。同時に、誰がお墓に入れ、誰が祭祀継承するかの厳格な決まりも薄れつつあります
新しく建立するお墓も、必ずしも長男家が承継せねばならないわけではありません。長男家と次男家との共同の合家墓も少なくはないようです。宗旨・宗派の考えや、寺社・霊園で納骨できる続柄や遺骨の数等の制約にもよりますが、奥さまはもちろん、ご長男やご次男とも、よく話し合われてみてください。

また他方では、霊園の供給不足等によるお墓の不足の問題や、逆にお墓を継ぐ人がいなくなって無縁墓となってしまったり、墓じまいを余儀なくされたりといったケースも増えているようです。
お墓を建てるということは、同時に承継の問題が発生するということです。 そして万一、お墓を処分することになったら、それに要する労力や費用は、建立と同等か、それ以上になる可能性もあります。
確かに、長い目で考えなければならない問題ではありますが、先々の心配などは尽きるものではありません。しきたりや慣習に縛られず、その代その代の、ご親族のお気持ちやお考えに沿われても良いのかもしれませんね。

建立のご意志は固いのかもしれません。
また、代々先のことまでを考えると、「いとこやはとこ同士等々が同じお墓に」といった課題を残すことになるかもしれませんが、 若林様のご両親やお兄様ご家族とも、あらためて確認されてはいかがでしょうか。

お墓を建てる際にかかる費用とその注意点

お墓を建てられるとして、気になるのはその費用でしょう。 かかるお金は、おおまかには次のように分けられます。

墓石代(本体・外柵・施工費等)
永代使用料
管理費

マイホームに例えて、墓石代は「建物代」、永代使用料は「土地代」、管理費は「維持費」と、イメージすればわかりやすいですね。よって、墓石代と永代使用料は建立時に、管理費はその後継続して必要になります(法要費等は別途)。
費用相場は、マイホームのようにマチマチですが、墓石代は墓地の区画面積、石の種類や石の使用量、形状、納骨棺、付属品等により、平均100万円〜300万円等と幅広いようで、消費税もかかります。
永代使用料は所有権ではなく使用権となりますが、平均60万円〜80万円ほど(消費税はかかりません)。管理費は、1年あたり1,000円〜3万円程度と、こちらも大きく幅があるようです。永代使用料と管理費は、霊園(墓地)の種類(公営、民営、寺院等)や立地によって格差があり、こうした点もマイホームと似ています
ですが、一般的に割安な公営墓地は遺骨のあること等が要件なので、若林様のように生前墓を検討する方は、民営墓地か寺院からの選択となるでしょう。民営墓地の多くは墓石の石材店を選べるケースが少なく、また寺院では檀家に入ることになるので、場合によって宗旨・宗派の制約が求められます。費用面以外にも総合的に検討していく必要がありますね。
よって、建立時の費用総額は少なく見積もって200万円、いろいろ目移りしていくと軽く300万円〜400万円にも上ります。一方、管理費はずっと払い続けるものなので、支払総額は年月と共にどんどん差が開いていきますので、長期的に留意する必要があります。

葬儀や埋葬等の費用は、その必要が生じた際にかかるものですので、生命保険や共済、または互助会等で準備していくのが、資産形成としても相性の良い手段といえます。
これに対して、生前墓の建立費は文字通り生前に発生するので貯蓄からの捻出となります。この費用を生活費から毎月1万円を節約して準備すると、実に十数年〜数十年はかかる計算となりましょう。老後にかかる費用の中では、夫婦で行く海外旅行費の数回〜十数回分です。施設にもよりますが、要介護時の高齢者施設への入所一時金にも影響する額です。

お墓のような祭祀財産には、マイホームのように相続税はかかりませんが、老後の収支に及ぼす影響は小さくはありません。縁起ものゆえ思い立ったが吉日と逸りたくもなりますが、定年後の過ごし方が定まられた後でも、決して遅すぎることもありません。
住宅ローンを完済されたあと、終の棲家や要介護時のお考えにあわせてキャッシュフローを試算され、じっくりと検討されるのもよいのではないでしょうか。

 

Copyright(C) NTTiF Corporation All Rights Reserved.