家計診断Q&A

家計診断Q&A

小学校から私立に通わせたいと思っています。
私たちで可能でしょうか?

今回、回答いただく先生は…
 

井上 信一先生
(いのうえ しんいち)
プロフィール
  • 平均額はあくまでも目安に。具体的な志望校の目標を持ちましょう
  • 学年によってかかるお金の額が変わるので、そのイメージを把握しましょう
  • 各ターニングポイントにあわせて貯蓄プランを立てましょう

奥田真緒さん(仮名 27歳 パート)のご相談

子どもを私立の小学校に通わせようかと夫と話し合っています。 年収700万円ほどの私達ですが大学まで私立に通わせられるものでしょうか?

ご相談者のプロフィール

家族構成
家族 年間収入 貯蓄額
本人
27歳
パート
約90万円 約800万円

30歳
会社員
約600万円
長男
3歳
-

志望校によってかかるお金は大きく変わります。 生活費から支出できる額と預金で準備する分を見極めましょう。

奥田様、ご相談ありがとうございます。
お子様の将来に対する希望と現実の生活への不安との間には、とかく葛藤があるものですよね。同じような悩みを抱えている方も少なくないですが、皆さんやりくりをされています。結論から申し上げますと、奥田様のご家庭でもそのご希望は十分に実現可能と思われます。ですが、それなりのご努力や工夫も必要となります。
幸い、時間を味方につける余裕がありますので、計画的に準備するためにも、まずは、かかるお金のイメージやそのポイントを掴んでおきましょう。

具体的な目標を定めましょう

さて、計画を立てるには具体的な目標設定が不可欠です。
進学プランではいうまでもなく「どの学校に進学させたいのか」がとても重要となります。教育方針や校風、その後の進学や就業実績が各校で異なるように、かかるお金の額も各校で違うからです。私立校と、ひとくくりにできるものではありません。
仮に、月額あたりの差が3万円でも、単純に小学校の6年間で216万円、中高までの12年間では432万円、大学卒業までで576万円もの差が開く計算です。在学中にかかるお金のうち、入学金や授業料、給食費、設備使用費、修学旅行費や課外活動費、寄附金等の有無程度なら、学校の情報開示で簡単に調べられますね。ですが、かかるお金の違いはこれだけではありません。

入学前にも、併願校を含めた受験費用はもちろん、入学手続きのタイミングによっては、志望校以外に納付金を払う必要があるかもしれません。
また、入学後は、子どもの通う塾や習い事、子ども同士や父母同士の付き合いなど、どのようなライフスタイルのマジョリティ(多数派)が形成されているのかで、かかるお金が多方面に渡り影響を受けることもあり得ます。
“長いものに巻かれる”のが常に正しいわけではありませんが、センシティブな問題なので、まったく無視はできませんね。
こうしたことまで考えますと、入学前に独力でリサーチするにはとても無理があります

進学プランにおいては、お子様本人の気持ちが大切なことはいうまでもありませんが、早い時期からの親の情報収集力が問われます。より多くの情報を集め、なるべく早めに希望する学校を絞っていくことが、教育費の準備の面でも必要です。進学プランニングのアドバイスが充実した塾などに通ったり、志望校を同じくする仲間を持ったり、そうしたサークル等に加わったりするなど、情報収集のアンテナを広げておくのがよさそうです。

金額の目安は年額の推移で把握しておく

とはいえ、志望校が定まるまでお金の準備をしないというわけにもいきませんね。あくまでも平均額である点に留意すべきですが、教育費については公的・民間を問わず、様々な機関が調査発表をしていますので、目安を知る意味では参考になります。

例えば、文部科学省では2年ごとに「子供の学習費調査」を公表しています。最新の平成27年12月発表(平成26年度)版によると、私立校の年間の学習費総額は以下のとおりです(筆者による修正後の数値)。

このデータによると、小中高の12年間の総額では約1,626万円となります。オール公立の場合だと、小学校が年間約32万円、中学が年間約48万円、高校が年間約41万円(12年間の総額459万円)なので、ざっと3.5倍強となる計算です。
総額でみると流石に金額の大きさに驚きますが、一度に必要になる訳ではないので、収入の中から年次やりくりも奥田様の場合は十分可能でしょう。
ですが、このデータは総額を年平均でならした金額である点に注意が必要です。
当然、かかるお金は学年によって異なります。例えば上記表に示したとおり、各区分の初年度には入学金が発生するため高額になります(上記金額には併願校に支払ったお金は含まれない点にも注意)。また、学校外活動費には塾や習い事のお金、物品購入費等が含まれますが、各区分とも学年が上がるにつれ増加します。とくに小学校では4年生の頃から急増するようです。
この学校外活動費はなかなかの曲者で、世帯年収が高いほど高額化する傾向にあり、特に小学校と高校で顕著になっています。その学校に通う子どもの世帯収入の平均やマジョリティがどのくらいなのか、こまめに学校に赴いて親を観察してみるのも一考かもしれません。

調査公表を行う機関は、他にも、株式会社日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」も参考になります。こちらは主に高校以後を調べたもので、最新調査(平成28年2月発表)によると、学校納付金、受験費用、入学しなかった学校への納付金を合わせた私立大学の入学費用は平均106万円。私立大学の年間の在学費用は、文系142万円、理系約178万円となっています。初年度費用と4年間の合計は各々、文系が初年度248万円、総額674万円、理系では初年度284万円、総額818万円となる計算です。 また、自宅外通学の場合、初期費用に45万円、年間仕送り額として124万円がかかっているとのこと。これも含めると、文系で1,215万円、理系では1,359万円にも上ります。 ただし、このデータもあくまで平均額であり、実際は学校や通学する地域で異なります

ターニングポイントにあわせてメリハリのある計画を

さて、ざっくりと必要となるお金の推移をみてきましたが、進学プランにはおおよそ以下のターニングポイントのあることが想像できましょう。

・小中高大のそれぞれの進学年度(初年度)
・習い事や受験準備のための学習費が増える頃(おおよそ小学4年生の頃)
・平均世帯年収により学校外活動費の多寡が左右されやすい高校在学中
・教育費自体の額が相対的に大きく、自宅外通学の可能性も高まる大学在学中
こうしたタイミングではかかるお金の額が急に変化しやすくなります。

裏を返せば、その際に慌てることのないよう、各々のタイミングが訪れる少し前までをターゲットとした貯蓄期間を設定しておく工夫が必要です。

貯蓄金額の捻出には、児童手当を貯めていくだけでなく、優先順位を考えて他の支出を抑える努力も必要かもしれません。例えば、奥田様の世帯年収がこの先も維持したと仮定すると、高校〜大学までの7年間、年収に占める教育費の割合は延べで20〜23%となります(7年間の教育費総額÷7年間の世帯年収の総額×100)。この水準は、先の「教育費負担の実態調査結果」で公表されている全国平均18%(公表値は公立と私立を平均化したもの)と比べると高くはなりますが、決して気の遠くなる数値でもないでしょう。
準備方法としては預貯金やこども保険(学資保険)等の貯蓄商品でのプランだけでなく、奨学金や教育ローン等の合わせ技も検討することができます。特に奨学金は貸与型(返済義務あり)だけでなく、今後は給付型(返済ナシ)の拡充も国が検討を始めています。柔軟に検討しつつ、アンテナを張っておきましょう。

冒頭にも申しましたが、時間を味方につけてムリの少ないプランを立てるためには、より具体的な目標を、少しでも早くに持つことが要です。目標を持つためには視覚的なイメージから入ることもコツ。評判が良さそうと注目した学校には、積極的に見学に行くのも良いかもしれませんね。

教育費の貯蓄プランの考え方については、こちらの過去のご相談も参考にされて下さい。

 

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