家計診断Q&A

家計診断Q&A

妻が出産でパートを辞め、収入も減りました。
これからの家計管理について教えてください。

今回、回答いただく先生は…
 

鈴木 暁子先生先生
(すずき あきこ)
プロフィール
  • 家族が増えた後の家計の変化を把握しましょう。
  • お子様が増えても生活費はやりくりし、ボーナスは教育費準備へ。
  • 奥様のパート収入がカギとなります。

木下徹さん(仮名 40歳 会社員)のご相談

出産を控え、妻がパートを辞めました。育児費用で出費が増えることに不安を感じています。妻は1年間は育児に専念したいと言っています。家計を見直せば何とかなるでしょうか?

ご相談者のプロフィール

家族構成
家族 年間収入(手取り) 貯蓄額
本人
40歳
会社員
約350万円
(月給:300万円 ボーナス:50万円)
定期預金:約100万円
住居費:70,000円
子どもの進路希望:高校まで公立、私大文系を想定

34歳
専業主婦
-
第一子
来月出産予定
-

60歳過ぎまで続く教育費が家計の重荷に。 奥様のパート復帰がカギとなります。

1.家族が増えた時は貯め時にしっかり貯めることが重要です。

木下さん、こんにちは。まもなく新しいご家族を迎えられるとのこと。待ち遠しいですね。
一方でこれまで計上されていた奥様のパート収入がなくなり、育児費用が増えることはご心配でしょう。今から将来を見据えて準備していきましょう。

まず直近では出産費用が気になりますね。奥様の出産では、木下さんの会社の健康保険から42万円の「出産育児一時金」が支給されます。医療機関によっては、「直接支払制度」といって、かかった費用を木下さんに代わって健康保険組合に直接請求する制度があります。この制度が使えれば、窓口で支払い(立替え)の必要がありません。ただしこの制度を使えるかどうかは医療機関によりますので、出産予定の医療機関に確認してください。

直接支払制度を利用しない場合は、一旦病院で清算した後、健康保険の窓口に支給の申請をすることになります。ちなみにいずれの場合も42万円より安かった場合は、後日差額が木下さんの口座に振り込まれます。

帝王切開手術で出産され、医療費が高額になった場合は、「高額療養費制度」を申請すれば、一定額を超えた分は後日払い戻してもらえます。
いずれにしても、出産費用はかなりカバーされるのではないでしょうか。

乳幼児の間は病気をしやすいというご心配もあるかと思いますが、乳幼児が医療機関で診療や治療を受けた時、その費用の一部または全部を自治体が助成してくれるのが「乳幼児医療費助成」です。助成額や対象期間は自治体によって違いますが、医療費はかなり軽減されます。健康保険に加入している赤ちゃんが対象ですので、生後すぐに病気をした場合でも制度を適用してもらえるよう、生まれたらなるべく早く木下さんの健康保険の被扶養者にする手続きをしましょう。今のうちにお住まいの自治体で手続きを確認しておくとよいですね。

このように出産や乳幼児期の病気などにかかる費用は助成制度が充実していますので、意外とかからないものです。
当面かかる費用は、産着やおむつ、ミルク代など。最近は、ベビー服やベビーベッドのように使う期間が限られるものなどはご友人同士で譲り合ったり、安価なもので済ませる、レンタルするなど、あまり費用をかけずに賢く調達していらっしゃる親御さんが増えています。
月に2万円程度を子ども費として見ておくとよいでしょう。

また、子ども費以外にも増えるものがあります。木下さんの死亡保障を大きくすることと、子ども保険のための保険料増額が見込まれます。
ただし、これら増額する分は毎月のやりくりで捻出できるよう頑張っていただきたいのです。というのも、木下さんの場合、40歳時のお子様なので、大学まで進学したとすると60歳以降まで教育費の支出が続きます。
一般的には50代半ばくらいから退職までは教育費負担が終了し、貯金のラストスパートをかけられる時期ですが、木下さんの場合はそれができません。ですから、できるだけボーナスに手をつけず、ボーナスは教育費のベースとして貯めていくことを目指しましょう。

現在でもあまり無駄遣いはない家計ですが、もう少し絞れる可能性があります。

黄色い部分が増額する費目、青い部分が減額する費目です。通信費は最近家族全員で15,000円以下というご家庭も少なくありません。プランや通信会社の見直しで可能な範囲かと考えます。また、雑費や予備費は毎月必ず支出があるわけではないので、こちらも少し削れるでしょうか。そしてできれば削りたくないのですが、木下さんのお小遣いも、昼食をお弁当にするなどで協力していただきたいところです。

2.教育費は「いくらかけたい」ではなく「いくらかけられるか」 で考えましょう

文部科学省「子どもの学習費調査」によると、学校外費用も含め、中学まで公立(幼稚園は私立)、高校は私立の場合でも高校卒業までに約740万円かかるため、大学まで進学させることになれば1000万円を超えます。さらにお子様の成長にともない、食費や衣類、家族の旅行代など、生活全般に関する支出もかさんでいきます。

教育費はかけ始めればきりがありません。しかし教育費をかけた分、自分たちの老後資金が不足してしまっては困ります。「いくらかけたい」よりも「いくらまでならかけられるか」で検討しましょう。

また、習い事をあれもこれもと始めると月謝負担も大きくなります。お子様の能力や可能性を見出してあげることも親の務めとは思いますが、やはり厳選することが賢明といえます。

ここで、毎月の生活費を見直した後の木下さんの家計を見てみましょう。

木下さんは、「児童手当」として0歳から3歳未満の間は15,000円、3歳から中学卒業までは10,000円支給してもらえますので、中学卒業までに約200万円程度になります。 高校までは木下さんの収入と児童手当の範囲で教育費を賄えそうですので、小学校卒業までに貯めた分の約300万円は大学初年度に充てることができます。ただし、大学入学後は教育費の負担が大きく、貯金の取り崩しとなります。

さらに木下さん60歳で退職後も教育費負担は続きます。退職後の収入が減少することや、その後は年金ベースの生活となり、赤字が膨らみます。つまり教育費は賄えても老後資金の準備までは難しいということになります。

3.奥様のパート収入は家計改善のカギです。

奥様のご実家がお近くなので、パート復帰の際はお子様の面倒を見てもらえるとのこと。たとえばお子様が3歳頃にパート復帰し、年収100万円得られるとして家計がどのように変わるか見てみましょう。

奥様がプランどおり収入を得られれば、2,000万円超の収入となり、家計は大きく変わります。もちろん今回のシミュレーションでは、一時的にまとまったお金の支出などが現実ほど加味されていませんし、お子様の進路も仮定です。逆に木下さんの収入のアップも見込んでおりませんのであくまで大きな流れをつかむ目安と考えてください。いずれにしても奥様のパート収入がカギとなりますので、ご夫婦とご実家の親御さんとご相談され、状況が許す限り早い復帰を目指すことを検討してください。

お子様が生まれると、しばらくは奥様が育児にかかりきりになります。当初は寝不足になったり体力的にも精神的にもご負担が大きいので、木下さんがリードして家計管理をしていただくと良いと思いますが、まずは奥様の無事のご出産を願っております。

 

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