家計診断Q&A

家計診断Q&A

働き始めて2年経ちますが全く貯蓄できていません。
収入は安定しているのに貯められない家計を改善したいのですが。

今回、回答いただく先生は…
 

井上 信一先生
(いのうえ しんいち)
プロフィール
  • 現状の収支を把握しましょう
  • 意識して予算の中でお金を使う工夫をしましょう
  • まずは、1カ月や3カ月等の短い期間で「貯めて使う」実践を

石田孝之さん(仮名 27歳)のご相談

働き始めて2年が経ちましたが、まったく貯金ができずに悩んでいます。 結婚や子育てなどこれからもっとお金がかかるのでしょうが、生活設計が考えられません。会社は安定していて収入が増えるとは思っているので、転職は考えられません。 どうしたら良いでしょうか?

ご相談者のプロフィール

家族構成
家族 年間収入 貯蓄額
本人
27歳
会社員/独身
310万円 30万円

貯めるのではなく、予算の中で使うことを意識する。
上手にお金を使うことが、貯まりやすい家計に変えてくれます。

石田様、ご相談ありがとうございます。 働いてから2年経ったということは、1年目にはかからなかった住民税の負担も経験された、ということですね。

お仕事にも、社会人としてのお金の付き合い方にも、そろそろ慣れてきた頃でしょう。この先は、結婚や出産、子育て、住宅の購入、さらには老後の暮らし等と、いくつものライフステージの変化が待っています。今回ご提案する生活設計の考え方は、生涯に渡り共通して必要な考え方です。ライフステージの変化に伴い資金準備が必要となる際にも応用できる考え方でもあります。絶好の機会です。以下のステップの順に、ぜひ実践してみてください。

ステップ1 大雑把な収入と固定費を掴む

まずは、1カ月で入ってくる収入と出ていく支出の関係を掴みましょう。 収入は、「額面年収」や「手取り年収(可処分所得)」等の考え方もありますが、ざっくり、給与振込口座に入金される金額を確認すれば十分です。
一方、支出の把握ですが、これには少しコツがいります。
そもそも支出には固定費的性格の支出と変動費的性格の支出とが混在していますが、貯蓄のできない方に注目して頂きたいのは、なんといっても変動費です。何故なら、仮に固定費を節約できたとしても、変動費を上手く管理できない方は、浮いた分だけ、無意識に使ってしまいがちになるからです。こうした消費習慣のある方は、将来、収入が増えてもお金はまったく貯まっていない、という事態にもなりかねません。

そこで、この重要な変動費を把握するためにも、下記表を参考に、まずは固定費をピックアップしてみて下さい。固定費の殆どはクレジットカード払いか預貯金口座からの自動引き落としだと思いますので、すぐに確認できるでしょう。なお、水道光熱費や通信費は月によって差があると思いますが、大雑把な把握でよいので調べた中で一番多い時の金額を参考にしておけば十分です。


ステップ2 変動費の予算を決める

1カ月間の収入と固定費がわかれば、その差額が変動費と月間収支となります。当月と翌月のお金の額(預貯金残高+お財布の中のお金)を比べ、増えていれば黒字(お金が余った状態)、逆に減っていれば赤字(入った以上にお金を使っている状態)といえますね。もしお金の額が殆ど変わっていなければ、収入と固定費の差額はまるまる変動費(入った分だけ使ってしまった)です。 たとえ、いつ、何に、いくら使ったのかをそのつど覚えていなくても、使ってしまっているのは事実なわけで、こうして順序だてて計算していけば、トータルでいくら変動費として出費したのかを、計算上、明らかにすることはできます。

次は、この変動費をいくつかの項目に分け、使う金額の予算を立てる作業をしましょう。 結果として「いくら使っていた」という状態から脱却し、予め「いくらの範囲で使うのか」を決めてしまうわけです。
コツは、管理しきれなくなるのであまり細かく分け過ぎないこと。そして、使うシーンや目的、お店等によって分けることです。もちろん、少しずつでも貯蓄の目標を立てて、その金額を引いた残りで予算を考えていきます。
上記表の項目は一例ですが、例えば同じ「食費」でも食料品はスーパーやコンビニ等で日常的に購入するのでトイレタリーやバス用品等と同じグループであるのに対し、外食費は交際費に近い別のグループとしています。
あとは立てた予算の中で使うことを心掛けるだけですが、最初は気負ってムリな計画を建てがちです。結果、予算の額を何度も手直しすることになると思われます。どうせ見直しに迫られるのですから、あまり細かいことを気にせずに、まずは始めてみることが大切です。

ステップ3 月や年をまたいで予算を消化することを実践してみる

立てた予算の中で使うといっても、その管理には工夫が必要ですよね。 慣れるまでは「袋分け」、つまり予算ごとに財布を分けておくことを、以前は勧めていました。面倒でアナログな方法ですが、いま残金がいくらなのか、あといくら使えるのかを適宜確認できる確実な方法です。でも最近では、レシートを撮ったりクレジットカードや電子マネーで使ったりした金額を、自動的に項目別に振り分けてくれる便利なアプリがありますので、そうしたものを利用すると良いでしょう。

さて、この方法は、何に使ったのか記憶にない細かな買い物や衝動買いなど、無計画・無駄な出費となりがちな変動費を、意識して使うことがポイントです。人はとかく財布の中にお金があればある分だけ使ってしまいがちですが、使える金額に限りがあるとそれなりに意識するものなのですから。

そこで、さらにもうワンステップ階段を上がり、月をまたいで予算を消化することを実践してみましょう。 例えば、今月の外食費を意識して浮かします。浮いた金額は翌月の外食費の予算に上乗せできます。すると、2カ月分の予算で、食べに行けるお店のグレードも上がることに気づくでしょう。今月使うつもりだったお金を使わずに来月に回す。これって、1カ月間ではありますが、積立貯蓄をしたことと同じなのです。 スーツのための予算を3カ月スパンで使う。これはスーツのために3カ月間の積立貯蓄をしたことと同じです。さらに年をまたいで旅行予算を2年スパンで消化する(貯める)なんてこともできるようになれば、これはもう期間の長さが違うだけで、結婚資金のための貯蓄、子育て資金のための貯蓄、マイホーム購入のための貯蓄、老後のための貯蓄等と、同じです。

お金を使うこと(消費)とお金を貯めること(貯蓄)とは、見方を変えれば実は同じ行為です。そして、お金が貯まりにくいのは、貯める目的が明確でないか、必要性に迫られていないからです。  であれば、意識してお金を使うことから始め、ほんの身近で些細なことからでも貯めて使う癖を自分のものにすれば、きっと家計の体質も変わるはずですよ。

 

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