家計診断Q&A

家計診断Q&A

退職金が1000万円ほど出る予定です。
子どもにできるだけ多く残せる資産運用のアドバイスをお願いします。

今回、回答いただく先生は…
 
 

村井 英一先生
(むらい えいいち)
プロフィール
  • 経済状況や相場の見通しは難しく、予想に基づいた投資はお勧めできません。
  • 大きな損失を避けるために、「長期投資」と「分散投資」の考え方が大切です。
  • さらに「投資タイミングの分散」も意識して投資を始めましょう。

  村山浩さん(仮名 59歳 会社員)のご相談

まもなく定年で、退職金が1000万円ほど出る予定です。私はその後も65歳までは再雇用で働けることになっており、妻もまだ働いています。リタイア後は夫婦の年金と貯蓄で生活できそうなので、この退職金は子どもたちに残したいと思っています。子どもにできるだけ多く残すために資産運用をしようと思うのですが、よい運用方法や注意点のアドバイスをお願いします。

ご相談者のプロフィール

家族構成
家族 年収
本人
59歳
会社員
定年再就職後は年収300万円
妻 明美さん
55歳
会社員
500万円
※子どもは長女と長男。二人ともすでに独立。

まとまった資金があっても1点集中は避け、 少しずつ何年にも分けて投資していきましょう。

1.相場見通しが当たらないからこそ「長期投資」と「分散投資」でリスクを抑えます。

定年は、退職金というまとまった金額を一度に得る、めったにない機会です。そして、すぐに使う予定がないということで、資産運用に回す人はたくさんいます。今まで仕事に追われていたため、初めて資産運用をする、という人も少なくありません。しかし、運用にはリスクも伴います。村山様も初めて資産運用に臨むということですので、くれぐれも「損失が出ても最低限に」ということを重視して始めたいものです。

いろいろなマネー雑誌や経済情報誌が出ており、ネットでも経済状況や株式相場、為替相場の解説を見ることができます。今後の見通し≠多く見ていくと、円安を予想する人、円高を予想する人と、専門家でも人によって見方は様々で、どれを信用してよいのかわかりません。経済状況や相場の見通しは難しく、資産運用の専門家でもなかなか当たりません。ですから、特定の人の意見に賭けて勝負するのではなく、予想外の事態となっても大きな損失とならないような運用をすることが大切です。

そのために大切なポイントとして知られている資産運用の考え方をご紹介します。それは、「長期投資」と「分散投資」です。長期投資は、「一時的に大きく下がることがあっても、長期間にわたって運用をしていれば、損失を補って安定した利益が得られる」という考え方です。確かに、政治的な要因などで急に相場が下がってしまうことがありますが、それを回避するのはなかなか難しいものです。しかし一度下がっても、そのまま持ち続けていれば、やがて回復することは少なくありません。村山様は、当面は退職金を使う予定はなく、将来お子様に遺したいとのことですので、まさに長期投資そのものです。

もう1つの分散投資は、「1つの商品に偏らずに、いろいろなものに分けて投資をしておくと、リスクが小さくなる」という考え方です。確かに、企業の不祥事などで、優良企業と思われていた会社の株価が暴落することもあります。いくら綿密に事前調査をしていても、1つの銘柄に賭けていたのでは、予想外の出来事が起きた時の損失が大きくなってしまいます。多くの銘柄、商品に少しずつ分けて投資しておけば、影響を少なくすることができます。株式であれば多くの銘柄に、そして日本の株式だけでなく、海外の株式、債券と、いろいろな種類に分けて投資をするとよいでしょう。分散投資を方針としている投資信託を利用するのもよいでしょう。

2.「積立投資」や「何年にも分けて投資する」ことで、投資タイミングの分散をします。

ただ、これだけでは大きな損失を避けるのが難しくなってきています。リーマン・ショックの直前に退職金をまとめて投資した人などは、長期投資と分散投資をしていても、なかなか損失を取り戻せていないのが現状です。
そこで、もう1つご提案したい考え方があります。それは、「投資タイミングの分散」です。少しずつ小分けに購入していくと、下がった後には下がった価格で買い増しをすることになり、後に上昇を始めた時の回復が早くなります。そのまま上昇が続けば、利益の幅も大きくなります。
毎月決まった金額で、同じ商品を買い続けることを「積立投資」と言います。一番下がった時にまとめて買うのがもっとも利益が大きくなりますが、それがわからない以上、この積立投資は効果的です。下のグラフは、1996年10月に1000万円でまとめて日本の株式に投資した場合と、毎月4万円ずつ投資した場合の資産の成果を比較したものです。どちらも投資金額は1000万円と同じですが、その成果は大きな違いとなっています。

事前に登録をしておくと、自動的に積立投資ができる商品もありますので、銀行や証券会社にたずねてみるとよいでしょう。毎月にまで分けなくても、少なくとも5年以上の期間に数回に分けて投資したいものです。1000万円の資金でも、5年間に分けて投資するとしたら、1年間の投資額は200万円です。NISAの枠に収めようとすると、100万円で10年の投資となります。さらに購入する商品を分ける(分散投資)と、一度の購入額は決して大きな金額ではありません。何度も購入する手間はかかりますが、大きな損失を避けるためには必要な手間だと考えてください。
退職金が出ると、一度にまとめて投資をする人が少なくありません。それなりに研究をして、分散投資もするのですが、大きな損失となると、長期間回復しない傾向があります。そのような事態を避け、着実な成果を得るためにも、「少しずつ何年にも分けて購入する」ということを心掛けてください。

 

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